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03-23(月)

「からゆきさん」 森崎和江


おキミはこの小屋から、また養女に出された。 明治末年、十六歳のときである。 おキミを養女とした人は李慶春といった。 因業小屋にいた少女とふたり、おキミは李慶春に連れられて小屋を出た。 ゆく先は朝鮮ということであった。 おキミは「からゆき」になったのである。(本文より)


<感想> ★★★★☆

からゆきさんという言葉をご存知でしょうか?バブルの頃、日本に働きにくる

外国人をじゃぱゆきさんと言いましたが、その語源になった言葉です。 から

ゆきさん
からは唐天竺(外国)が転じたもので、海外に出稼ぎに出る人々

を指したものです。 当初は肉体労働に従事する男性も含まれていましたが、

のちに娼妓として海外に売られた女性たちをそう呼ぶようになりました。 


明治の後半から昭和初期にかけて日本はアジアに進出していきます。 その

影には騙されたり、親に売られたりした数多くのからゆきさんがいました。 

鉄道敷設の際、辺境の現場に真っ先に入るのは工夫ではなく、二十歳まで生

きることを夢見ていた15~6歳の少女達でした。 


 からゆきさんは誘拐者の口車にうかうかとのっているようだが、一般

に国内の出稼ぎも口入屋をとおすほかすべのない時代である。 まし

て海のそとへのさそいは、だまされるかもしれなくとも、そこをふみこ

えねば、道はひらかれぬ。 そののっぴきならない立場にたっても、な

お心にゆめをいだいていた娘たちのその幻想をおもいやる。 おなご

のしごとをしてもなお、その苦界を泳ぎわたって生活の場をきずこうと

した人びとの、せつないまなざしを感じる。

 そのかたちなき心の気配。 そのなかにはいってからゆきを感じとら

ねば、売りとばされたからゆきさんは二度ころされてしまう。 一度は

管理売春のおやじや公娼制をしていた国によって。二度目は、村むす

めのおおらかな人間愛を失ってしまったわたしによって。



本書の優れている点は、その悲劇のみを扇情的に語るのではなく、背景にあ

る客観的な事実をクールに語っている点だと思います。 『あぁ野麦峠』を読

んだときにも感じましたが、それは優れたノンフィクションの条件のようなもの

です。 

引用した部分のみを読むと抒情的なものを感じると思いますが、時代背景や

からゆきさんを多く送り出した天草や島原の風土を知った上で読むとさらに胸

に迫ってくるものがあります。


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