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02-23(月)

「蜉蝣」 若合春侑



不穏な空気がたちこめる―昭和十年、上野。美校で裸体を曝すカフェの女給、帰依。繊細な画学生、謎めいた絵葉書屋、美しい絵描きと弥蘇教の下男。男たちとの邂逅で、帰依の人生は捩れはじめた。官能と禁忌に弄ばれた女の性を描く、落涙の純愛小説。



<感想> ★★★★★

『腦病院へまゐります。』 で、すっかり旧字・旧かな使いにハマってし

まったので、さっそく二冊目にチャレンジしてみました。 


この作品も旧字・旧かなで書かれています。 舞台は昭和十年の上野。 

アルバイトで画学生のモデルをしているカフェの女給が主人公です。『腦

病院へまゐります。』
では過激なSM描写に圧倒されてしまいましたが、

本書は主人公の心の揺れを丁寧に描いています。 


恋愛小説のポイントは「せつなさ」をどのように読者に伝えるか?だと思い

ます。 この作品からは、恋愛における「せつなさ」と、時代の中で女性が

味わっていたであろう「せつなさ」が伝わってきました。 

恐らくそれは、いわゆる「名作」として現代に残っている近代文学ではなく、

時代に淘汰されていった、その時代の現代(大衆)文学。 早熟な女学生や、

家人が寝静まった台所で女性たちが読んでいた小説(物語)を構成していた

パーツなのではないかと思います。


ストーリーはもちろんですが、旧字・旧かなの魅力は抗し難いものがあり

ます。

「いつのに」とねてみたが、榊は少しはにかんだだけで答へず、

硝子窓を開け放ち、蚊取り線香に火をつけた。

 蒸し暑い部屋に籠もつてゐた油繪の具の匂ひに、燐寸の燃えた

後のリンと乾いた除蟲菊が燃える匂ひが混ざり、立ちのぼる白い

煙は、簾を垂らした部屋の外へと、そろりそろりと流れて行く。


(引用者注・黒字は機種依存文字のため常用漢字で表記しました。) 


作中に佐々愁雨という洋画家が出てきますが、装丁で使われている画は

伊藤晴雨という画家の作品です。 もちろん伊藤晴雨は実在の人物です。 

そのあたりの関係性を調べてみるのも面白いかもしれません。
 

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Comment


 

Re:「蜉蝣」 若合春侑(02/23)

五つ星ですね。
「せつなさ」に弱い私です。要チェックですね!

 

ケイプコッドさん

こんにちはぁ~♪

>五つ星ですね。
>「せつなさ」に弱い私です。要チェックですね!

ケイプコッドさんは「せつなフェチ」だったんですね。 記憶しておきます。(笑)

 

Re:「蜉蝣」 若合春侑(02/23)

こんばんは

「脳病院へまゐります」は、いつも図書館に行くたびにタイトルが気になっていた本でした。
読んでみたい気もするけど、SMか……う~ん。

そういえば伊藤晴雨、私の記憶が確かならば、大正とか昭和初期のころのSM画の大家だったと思うのですが。
つまり、若合氏は、あのような時代と世界を描いた作家さんなのでしょうか。

 

ときあさぎさん

こんにちはぁ~♪

>こんばんは

>「脳病院へまゐります」は、いつも図書館に行くたびにタイトルが気になっていた本でした。
>読んでみたい気もするけど、SMか……う~ん。

ほ~い!バリバリSMです。(←私のことではないです・汗)
ただ、主人公の心理背景がよく描けているので、恋愛小説としての価値はあると思います。 ただ、万人ウケするかと問われればビミョーです。

>そういえば伊藤晴雨、私の記憶が確かならば、大正とか昭和初期のころのSM画の大家だったと思うのですが。

おぉ~よくご存知ですね。 緊縛画っていうらしいです。 

>つまり、若合氏は、あのような時代と世界を描いた作家さんなのでしょうか。

この作品と「脳病院へまゐります」の舞台は昭和初期です。 基本的にSMってなかなか理解しがたいものがあるけど、あ~これってある種の恋愛のカタチかなぁ~と思わせるチカラはあると思います。 

 
 
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