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02-10(火)

「野火」 大岡昇平


敗北が決定的となったフィリピン戦線で結核に冒され、わずか数本の芋を渡されて
本隊を追放された田村一等兵。 野火の広がる原野を彷徨う田村は、極度の飢えに襲われ、自分の血を吸った蛭まで食べたあげく、友軍の屍体に目を向ける・・・。平凡な一人の中年男の異常な戦争体験をもとしにて、彼がなぜ人肉嗜食に踏みきれなかったかをたどる戦争文学の代表的作品である。


<感想> ★★★★★

著者の戦争体験をもとに描かれた本書を文章のテクニックで語るのは、

邪道と言われるかもしれませんが、とにかくメチャクチャに巧い作品です。

私が読んだ新潮文庫版の奥付は平成6年で76刷を重ねています。 

60年近く淘汰されずに読み継がれている理由はその強烈な題材はもち

ろんですが、砲弾の飛び交うジャングルを独りで彷徨う絶望と孤独。 極

限状態で繰り返される生と死。 そして飢え。 それらをリアルに再現した

著者の筆力に依る部分が大きいのではないかと思います。 


卓越した文章によって、読者は好むと好まないに関わらず、生還率が数

%だったと言われる敗戦直前のフィリピン戦線を追体験させられます。 

しかし、我々は悲しみや怒りを目にすることはありません。 そこには人間

の感情や尊厳を根底から覆してしまう圧倒的な破壊力があるのみです。  


読了後、しばし呆けた気分にさせられますが、それこそが戦争の本質に触

れた証なのかもしれません。


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