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12-03(水)

「セメント樽の中の手紙」 葉山嘉樹


ダム建設現場で働く男がセメント樽の中から見つけたのは、セメント会社で働いているという女工からの手紙だった。そこに書かれていた悲痛な叫びとは…。かつて教科書にも登場した伝説的な衝撃の表題作「セメント樽の中の手紙」をはじめ、『蟹工船』の小林多喜二を驚嘆させ大きな影響を与えた「淫売婦」など、昭和初期、多喜二と共にプロレタリア文学を主導した葉山嘉樹の作品計8編を収録。ワーキングプア文学の原点がここにある。


<感想> ★★★★☆

バブル世代の私にとって、プロレタリア文学は過去の遺物以外のナニモノ

でもありませんでした。 小林多喜二徳永直の名前を知ったのも国語の

授業ではなく社会科の授業でした。 著者の葉山嘉樹は大正末期から昭

和初期(1920年代)にかけて活躍した作家です。 プロレタリア文学に芸

術性を加味し、後に続く小林多喜二らに影響を与えたと言われています。 


さて、本書には8つの短編が収められていますが、印象的なのは表題作と

「淫売婦」「死屍を食う男」の三篇です。 

私は淫売婦の代わりに殉教者を見た。 彼女は、被搾取階級の一切

の運命を象徴しているように見えた。
(「淫売婦」より) 

というあたりは思いっきりプロレタリアートしていますが、基本的にはホラー

小説です。 もちろんそれは作家の本意とはかけ離れているわけですが、

リアルな描写と研ぎ澄まされた文章はトリハダものです。  表題作は青空

文庫
で読むことができます。 ちなみに「死屍を食う男」の初出誌は江戸川

乱歩
横溝正史のホームグラウンドであった『新青年』です。 


特高警察の拷問を受け、築地警察署の拘置所で獄死した小林多喜二のエ

ピソードは有名ですが、当然のように葉山嘉樹も幾度となく投獄され、敗戦

直後、満州から引き揚げてくる列車の中で病死し異国の土となっています。

作品が後世まで残るというのは作家としては本望だと思います。 ましてや

80年の時を経てベストセラー入りするなんて前代未聞です。 

しかし、文字通り命を賭して作品を紡いだ彼らには目的があったはずです。 

恐らく、夢見たであろう未来の遥か先で再度、自分の作品が求められている

ことを彼らはどのように捉えるのでしょうか?

 
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Comment


 

Re:「セメント樽の中の手紙」 葉山嘉樹(12/03)

お!面白そう?って思いましたが、
プロレタリア文学でしたか。
今まで、縁がなかったけれど、少し興味がでてきました。
今の時代、小説の尺度は「面白い」-「面白くない」になってしまった気がします。
平和ですが、つまらない時代になってしまったのかも。

 

Re:「セメント樽の中の手紙」 葉山嘉樹(12/03)

お!面白そう?って思いましたが、
プロレタリア文学でしたか。
今まで、縁がなかったけれど、少し興味がでてきました。
今の時代、小説の尺度は「面白い」-「面白くない」になってしまった気がします。
平和ですが、つまらない時代になってしまったのかも。

 

Re:「セメント樽の中の手紙」 葉山嘉樹(12/03)

こんにちは。

小林多喜二や徳永直の名前は知ってましたが(名前だけで読んだことはないです……汗)、葉山嘉樹という作家は初めて知りました。
プロレタリア文学が今になってブームになっているって、やはり社会が後退しているってことですかね……。
それに、かつて命がけで小説(娯楽物じゃないのか??)を書く人々がいた、というのはすごいことですよね。

 

三月☆うさぎさん

こんばんはぁ~♪

>お!面白そう?って思いましたが、
>プロレタリア文学でしたか。
>今まで、縁がなかったけれど、少し興味がでてきました。

プロレタリア文学って、ちょい邪道っぽいですよね(汗)追い詰められた状態を描くコトが多いんですが
その描き方がハンパないというか・・ある意味でホラーです。

>今の時代、小説の尺度は「面白い」-「面白くない」になってしまった気がします。
>平和ですが、つまらない時代になってしまったのかも。

そうですね!最近は「面白い」の基準さえ低レベルになっているような気がします。 
この時代の作家は懲役覚悟だったり、血を吐いたりしながら作品を描いていたわけで、気迫のような物を感じたりします。

 

ときあさぎさん

こんばんはぁ~♪

>こんにちは。

>小林多喜二や徳永直の名前は知ってましたが(名前だけで読んだことはないです……汗)、葉山嘉樹という作家は初めて知りました。

私もリンク先の方の記事で知りました。 
表題作は70~80年代にかけて高校一年生の教科書に採用されていたそうです。

>プロレタリア文学が今になってブームになっているって、やはり社会が後退しているってことですかね……。

ワーキングプアとか日雇い派遣など、雇用形態や労働形態が当時と似通ってきたという背景があるんだと思います。

>それに、かつて命がけで小説(娯楽物じゃないのか??)を書く人々がいた、というのはすごいことですよね。

労働運動(左翼勢力)の弾圧が最も激しかった時代は
プロレタリア文学を所持しているだけで、特高警察に引っ張られたそうです。 
プロレタリア文学の本来の目的は左翼勢力の教宣活動なので、この時代に於いては命がけだったというわけです。

 

苦手です

プロレタリア文学って苦手ですよ~
読んでいると苦しくなって。
ご紹介の「淫売婦」が面白そうですね。
モーパッサンの「脂肪の塊」と言う小説と似ているのかしら。

 

ままちりさん

こんばんはぁ~♪

>プロレタリア文学って苦手ですよ~
>読んでいると苦しくなって。

労働者階級はこんなに虐げられているんですよぉ~という必要以上にリアルに(誇張された写実主義?)描きすぎる傾向が強いですよね。

>ご紹介の「淫売婦」が面白そうですね。
>モーパッサンの「脂肪の塊」と言う小説と似ているのかしら。

『脂肪の塊』未読なのでなんとも言えませんが、誇張された写実主義の行き着く果てはホラーなのではないかと思わせる作品です。(汗)

 
 
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