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10-03(金)

「あゝ野麦峠―ある製糸工女哀史」 山本茂実


"ああ飛騨が見える・・・。" 厳しい冬将軍があたりを蔽い尽くそうとする頃、野麦峠の頂上でみねという名の製糸女工が、小さく呟きながら死んだ。 明治政府が強力に推し進めていた、富国強兵政策を底辺で担っていたのは、無数の女工たちであった。 これは彼女たちの青春に捧げる哀歌であるとともに、数百の聞き書きによって浮き彫りにした素顔の日本近代史である。


<感想> ★★★★★

この作品のタイトルを聞いて、女優の大竹しのぶさんを思い浮かべる方も多い

と思います。 一億総中流と言われ、我々日本人が繁栄を享受していた79年

に公開された同名映画は、大ヒットを記録しました。 

大竹さんが演じた政井みねは実在の人物ですが、みねは特別なヒロインでは

なく、日本の絹が世界市場の34%を占めていた時代に居合わせた製糸工女

のひとりに過ぎません。 彼女と同じ運命を辿った女性が何百、何千といたと

いう事実が胸を打ちます。

映画の公開当時、中学生だった私は繁栄ニッポンの礎となった人たちの物語

という印象を強く持ちましたが、『蟹工船』がベストセラーになる現代においては

その受け止め方も変わってくるかもしれません。 


さて、映画ではサブタイトルにもなっている哀史の部分が強調されていますが、

その原作本である本書は多少趣が異なっています。 

初版(68年)当時、60~90歳だったかつての女工たち380名から聴き取った彼

女たちの悲劇はもちろんですが、その取材はそれと関連する時代背景や彼女

たちを雇っていた経営者側にまで至ります。 


これは従来の女工哀史といわれるものにもいえることであるが、青くさい

文学青年発想のセンチメンタルはかえって有害である。



本書の主眼は製糸工女の悲劇ではなく、それを触媒として近代日本の姿を描

くことにあります。

雪の野麦峠を命からがら越えて待っていたものは、奴隷制度と違わぬ扱い。 

あるものは耐えかねて諏訪湖に身を投げ、あるものは劣悪な労働環境が要因

となり命を落とす。 しかし、驚いたことに著者が取材をしたかつての工女たち

の9割が製糸工女として出稼ぎに出てよかったと答えています。 彼女たちにそ

う言わしめるものは何なのか? そして、彼女たちが命がけで紡いだ絹は何に

化けたのか? それは近代日本の出発点と着地点を明確に示しているように

思います。 


圧倒的な取材力と客観的な資料、製糸工女達の持つ独特の物語性。 そして著

者の語り口。 私の思いつく限りでは最高のノンフィクション作品です。 

大竹しのぶさんの工女姿に涙した方はもちろん、下層社会からみた近代史に興

味があると言う方にオススメいたします。 

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Comment


 

ご無沙汰してます

こんにちは。
2週間ほどブログを更新、コメント記入する気力も時間もなく、今ではすっかり忘れ去られているように思います。やっと戻ってこれました。

 

cyn1953さん

こんにちはぁ~♪

>こんにちは。
>2週間ほどブログを更新、コメント記入する気力も時間もなく、今ではすっかり忘れ去られているように思います。やっと戻ってこれました。

おつかれさまです。
時々、家に帰るのを忘れてしまう私ですがCYNさんのことは忘れていません。(笑)
さっそく参上させていただきます。

 

私も映画観ましたよ~

もしかして きたあかりさんと同年代かもです
私も中学生の時に学校から映画を観に行ったような?
なんだかうろ覚えなんですが・・

普段全く読もうと思わないタイプの本なんですが
きたあかりさんの説明を見てると読んでみたく
なってきます^^
今日は雫井さんの火の粉を読了しました
一気読みしちゃいましたよ~超超面白かったです
というか怖かったです(;^ω^A

読書メーカー どれどれと見に行ったらすごくよさそ
うで思わず登録してしまいました^^
面白いところを教えてくれてありがとう(*^^*)

 

mapleさん

こんばんはぁ~♪

>もしかして きたあかりさんと同年代かもです
>私も中学生の時に学校から映画を観に行ったような?
>なんだかうろ覚えなんですが・・

ムムッ・・どうでしょうか?
私が生まれた3ヵ月後にビートルズが来日しています。

>普段全く読もうと思わないタイプの本なんですが
>きたあかりさんの説明を見てると読んでみたく
>なってきます^^
>今日は雫井さんの火の粉を読了しました
>一気読みしちゃいましたよ~超超面白かったです
>というか怖かったです(;^ω^A

うんうん!人間関係の距離感のようなものを巧く応用していますよね。 すげぇ~怖かったです。

>読書メーカー どれどれと見に行ったらすごくよさそ
>うで思わず登録してしまいました^^
>面白いところを教えてくれてありがとう(*^^*)

いわゆる書棚サイトっていくつかありますが、「読書メーター」は、かゆいところに手が届く工夫がされていると思います。 勝手ながら「お気に入り」設定をさせていただきました。 今後ともよろしくおねがいします♪

 
 
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