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01-03(水)

「筑波根物語」 水上勉


河合酔茗、伊良子清白とならび「文庫」派の三羽烏と称された“筑波根詩人”横瀬夜雨の生涯を追い、佝僂病という宿痾の病いに苦しみながら、純真・多感な抒情詩を書き続けた魂の裡にひそむ真実を描き切る。―不具貧、孤心、恋愛への憧憬、母恋い、性への執着、文芸…水上文学の中心テーマが凝縮された傑作。


<感想> ★★★★☆

水上勉といえば社会派ミステリーの『飢餓海峡』が知られていますが、

終生描き続けてきたのは、日本の貧しさや地方格差です。 

私が子供の頃、田中角栄という政治家がいました。 首相まで登りつめ

ましたが、最後は刑事事件の被告のままこの世を去りました。 

高度成長も一段落ついた頃に生まれ、田舎だといいながら都心まで一時

間圏内で育った私には、スキャンダルにまみれた彼が何ゆえ幾度の選挙

で当選するのかが全く理解できませんでした。 しかし水上作品を読むと、

戦後日本の本質のようなものが見えてきます。 それを踏まえるなら田中

角栄という政治家の存在は必然だったのではないか・・・私にそんな視野

を持たせてくれたのが水上勉という作家です。

さて、前置きが長くなりました。 

本書は昨年の秋、没後二年を経て出版されましたが、初出は1965(昭和40年)

「中央公論」の連載で、横瀬雨夜という詩人の生涯を綴った作品です。 

史実も交えているようですが基本的にはフィクションのようです。 

1878(明治11年)茨城県に生まれた横瀬夜雨(虎寿)は4歳の時にくる病を

発症します。 明治中期から大正にかけて多くの詩作を発表していますが、

美しく、ともすれば感傷的すぎる彼の詩の陰に、著者はスポットを当てて

います。 病苦、貧困、絶望・・明るいとは言いがたい生涯ですが、夜雨

の煩悩、生への執着、ふてぶてしく生きていくさまを容赦なく描いていま

す。 それは裏返せば著者の愛情のようなものではないかと思われます。

個人的には、松本清張の芥川賞受賞作『或る、小倉日記伝』に通じるもの

を感じました。 横道にそれますが、女性ファンとの文通を巧みに利用す

る夜雨は、現代だったら出会い系にハマっていると思います(笑)

水上ファンはもちろん横瀬夜雨の名前を知っているという方に強くオスス

メします。 横瀬夜雨についてはこちら

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パチパチパチ

素晴らしい書評です!
本に対する気合の違いというか、ただで借りてだらだらと読む私と、購入して読むきたあかりさんとの、心根の格差を思い知らされます(どっと汗)

 

読子さん

こんばんはぁ~♪

>素晴らしい書評です!
>本に対する気合の違いというか、ただで借りてだらだらと読む私と、購入して読むきたあかりさんとの、心根の格差を思い知らされます(どっと汗)

お褒めにあずかり恐悦至極に存じます。でも確かに新刊で買うと気合い入りますよね(笑)
水上さんに関しては新作がもう読めないんだなぁ~と思うとちょいと淋しいです・・

 
 
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