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03-20(火)

「終わらざる夏」  浅田次郎

  



内容(「BOOK」データベースより)第二次大戦末期。「届くはずのない」赤紙が、彼を北へと連れ去った―。北の孤島の「知られざる戦い」。あの戦いは何だったのか。着想から三十年、著者渾身の戦争文学。




<感想> ★★★★★

1945年(昭和20)8月15日。 日本は連合軍に対して無条件降伏をしました。 わが国は文字通り焦土と化しましたが、戦時中も戦闘が行われることなく、唯一軍隊が無傷で残っていたところがあります。 それが、当時日本の領土だった占守島(下地図参照)です。 無条件降伏後、この島に駐屯していた旧日本軍は武装解除に向けて動き出しますが、突如ソ連軍が上陸し交戦。 現地の将兵は孤立無援の戦いを強いられます。 世に言う占守島の戦いです。 本書は今まで語られることの少なかった占守島の戦いを軸に据えて、日本人それぞれの終戦を描く長編作品です。


さて、数ある文芸作品の中には、その作家しか描きなえない作品というものがあります。 本書はそれに数えられる作品だと思います。 まずは、終戦間際にさまざまな場所に配した数多くの登場人物たちを丹念に描きながら、それを線で結びつけながら最後の舞台となる占守島の戦いに収斂させていくという作家の力量。 おそらく、これだけの人数のキャラクターを配しながらも読者を混乱させないテクニックを持っている作家はそれほど多くはありません。


そして、もうひとつは軍隊という特殊な組織の仕組みと、そこに関わる人間の心理が如実に描かれている点です。 戦争文学で語られる悲劇はその理不尽さにあります。 それを具現化するには、命を賭してまで命令に従わなくてはならない兵士を描くのが常道です。 しかし、本書ではその理不尽を強要しなくてはならない立場にある人間の心理にまで立ち入っています。 更に言うならそれは、終戦後の占守島に上陸するソ連軍の将兵にまで及んでいます。 そこで一貫しているのは、戦争の罪はどこにあるのか?という問いかけだろうと思います。 


様々な職業を経て、作家になって浅田次郎さんですがそれには自衛官だった時代も含まれます。 インタビューによれば、テーマになっている占守島の戦いは自衛官時代に知ったとのことです、そして当時はまだ第二次世界大戦を経験した上官も数多く在籍していたようです。 その経験と、ここで描かれる軍人達は決して無関係ではないはずです。 


本書は中途半端な戦争小説ではありません。 
並々ならぬ才能をもつ作家浅田次郎。 そして、かつて自衛官だった浅田次郎。 その二つの要素の上に成り立った魂のこもった反戦小説です。 ぜひ、ご一読を。






より大きな地図で 占守島 を表示
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Comment


 

私もこの本読みました。
「戦争に勝ちも負けもない」というセリフが、ぐさり・・・
長い長い物語でしたが、ラスト涙がでました。
大勢の方に読んでほしい本です。

ブログ引っ越し、お疲れ様でした。

 

ほっそさん

南樺太(サハリン)の終戦直後の話っていくつか知っているんですが、占守島の話なんてまったく知りませんでした。 渾身の・・・なんていう言い回しがあるけど、まさに渾身の作品って感じでしたよね。

>ブログ引っ越し、お疲れ様でした。
ありがとうございます。
引越し後、ちょっとアクセス数がアレなんですがね(笑)

 
 
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