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12-14(火)

「少女外道」  皆川博子


この感覚は、決して悟られてはならない。人には言えない歪みを抱きながら戦前~戦後の日本をひとり生きた女性を描く表題作のほか、ラスト一頁で彼岸と此岸の境を鮮やかに越える「巻鶴トサカの一週間」など、名手・皆川博子の傑作短篇七篇を収録。



<感想> ★★★★★

小説読みヲタを自認する私ですが、皆川博子さんは未読。

キャリアの長い作家さん(1930年生)なので、名前だけは知っています

が、なぜ?なぜ今まで読んでいなかったか??私は激しく後悔する

と共に、ここ数日間は法螺貝を手に山奥に踏み入り、滝に打たれたい

衝動と闘っている次第です。


さて、本書には表題作を含めて7つの短編が収められています。

いずれも耽美小説と幻想小説をミックスさせた純文学系といった味わい

です。 さらに言うなら、すげぇエロいです。 ただし、直接的な表現や比

喩はいっさいありません。 行間から噎せかえるように立ち上がってくる

匂いに官能を強く刺激されます。 おそらく、この匂いをより強く感じ取れ

るのは女性なのではないかと思います。

 
 櫻の幹に手を当てて見上げていた葉次を思うと、父母の冷酷

な仕打ちや無責任な言葉が同時によみがえるのだが、久緒には、

両親を責める資格などないのだった。 樹木と溶け合い樹液と

なって幹の中を流れる感覚に、言いしれぬ愉悦があった。 そ

以前に、葉次の肉体が苦痛のなかにある時、同じ感覚に貫かれ

た。 愉悦を何と呼ぶか、さとったのは阿星と語り合った時であ

った。 阿星が唇には上がらせない言葉が、わかった。
 
 悦びを感じて当然の相手と口づけし、性をかわしても、あの一

瞬の愉悦は絶えて生じることなく、久緒は自分の歪みを思い知

らされた。   
 
                (『少女外道』)


独特の世界観と美しい文章に加えて、いくつかの作品で試みられている

構成は読み慣れないときついと思いますが、小説好きならそれを十二分

に楽しむことが出来ると思います。


小川洋子さんの静謐感がお好きな方、そしてなにより上質な小説を読み

たいとお考えの方に激しくおススメします。


文藝春秋のサイトで冒頭部分を立ち読みできます。

 
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