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10-30(土)

「ツリーハウス」 角田光代




謎の多い祖父の戸籍、沈黙が隠した家族の過去。すべての家庭の床下には、戦争の記憶が埋まっている。新宿角筈『翡翠飯店』クロニクル。




<感想> ★★★★☆

本書は10月15日に出た角田光代さんの最新刊です。 昭和15年の

長野に始まり。 満州を経て、焼け野原の東京へ。 時はさらに進み、

東京オリンピック、高度成長、学生運動、バブル・・・・そして失われた

10年。 歌舞伎町(西新宿)に店を構える『翡翠飯店』を営む家族三

代の70年間を描く物語です。


さて、冒頭で祖父の死を経験する「良嗣」は、自らのルーツに興味を持

ちます。 同じ屋根の下に暮らしながらも、祖父と祖母の出自どころか

父母の出会いさえ知りません。 祖母と叔父の三人で長春(旧満州)を

旅することになりますが、そこで祖母がぽつりぽつりと満州時代を語り

始めます。 そこからは彼らの旅と、過去をクロスさせながら現代に収

斂させていくという構成です。 


三世代が同居しながらも、その関係性は希薄でともすれば殺伐として

いる家族の風景は角田光代さんの十八番ですが、文章に関していうな

ら多少の違和感を覚えました。 もちろん読みやすさはあるわけですが、

正直言って角田ファンとしては若干の不満が残るというのが正直なとこ

ろです。 大河小説的な側面から言うなら、満州での終戦や引き揚げは

盛り上げどころなわけですが、案外あっさり描かれていて期待外れとい

えば期待外れでした。


しかし、物語の後半。 「良嗣」の父の物語になると角田節炸裂!!物語

は時代を旺盛に取り込んで、イッキに加速していきます。 冒頭で希薄だ

と感じられた家族関係の裏にある強い繋がりをぼんやりと浮かび上がら

せるあたりも秀逸です。 


個人的には祖母が旅先で、見ず知らずの中国人に思いの丈をぶつけるく

だりが印象に残りました。 角田作品においては珍しく、この作品のメイン

キャストはすべて男性ですが、最終的に、これは祖母の物語だったので

はないか?と感じた部分です。


直木賞受賞後、快進撃を続ける角田光代さんですが、それを支えている

のは特定の読者層です。

小説というのは地下世界の文化だから、普段は世間全般の注目を

浴びるようなことはない。 ごく少数の、本を読む人たちだけに認識

されている向こう側の異世界だ。 


と書いたのは桜庭一樹さんですが、この作品は角田光代さんを異世界か

ら表の世界へ飛翔させる一冊になるのではないかと思います。 


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Comment


 

Re:「ツリーハウス」 角田光代(10/30)

歌舞伎町、満州……、そのふたつのキーワードを聞いただけで
そこから広がる角田世界の壮大さを想像してしまいました。
そしてそして きたあかりさんの感想から
若干の不満、異世界から表の世界へ、というふたつの思い。
またまた いろいろ想像してしまいます。
とにかく 読むのが楽しみ! 分厚いけれど 一気読みしてしまうような
そんな感じのようですね。

 

kayokorinさん

こんにちはぁ~♪

>歌舞伎町、満州……、そのふたつのキーワードを聞いただけで
>そこから広がる角田世界の壮大さを想像してしまいました。
>そしてそして きたあかりさんの感想から
>若干の不満、異世界から表の世界へ、というふたつの思い。
>またまた いろいろ想像してしまいます。


気持ちをお汲み取りいただきありがとうございます。(笑) なかなかの名作だと思うんだけど、好きな作家に今までとちがう路線で書かれちゃうと・・・というビミョウな気持ちでございます。

>とにかく 読むのが楽しみ! 分厚いけれど 一気読みしてしまうような
>そんな感じのようですね。

さっきチェックしたら460頁ありました。 角田さんの場合長くても360頁が限界だったので、そのあたりも気合が入っているのではないかと思われます。

 

おはようございます。

おはようございます。
男ばかりというのは、今、初めて気づきました。
いつもと違う感触でした、確かに。
それに、盛り上げどころでスルーというご指摘で、
ああ、それで、『百年の孤独』など連想していたのかなと
ふと思いました。
まだまだこれからどんなふうになっていくかわからない、
楽しみな角田さんです。

 

時折さん

こんばんはぁ~♪

>おはようございます。
>男ばかりというのは、今、初めて気づきました。
>いつもと違う感触でした、確かに。
>それに、盛り上げどころでスルーというご指摘で、
>ああ、それで、『百年の孤独』など連想していたのかなと
>ふと思いました。

私自身は大河小説好きだからかもしれませんが、盛り上げどころはもっと派手にやって欲しかったなぁ~と思うんですよね。 でも、今考えるとそのあたりはあえて自重したのかなぁ?なんて思ったりもします。 

>まだまだこれからどんなふうになっていくかわからない、
>楽しみな角田さんです。

『八日目の蝉』も新聞連載でしたが、比較するならより幅広い読者を想定して書かれているようにも思いました。

 
 
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