プロフィール

きたあかり

Author:きたあかり
文芸書中心の読書日記です。
読書傾向はフリーエリアの円グラフを見てください。 サイトのご案内

フリーエリア
ひとこと掲示板
FC2カウンター
検索フォーム
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

ブロとも申請フォーム
QRコード
QR

-----(--)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 
01-16(土)

「わたしを離さないで」 カズオ・イシグロ


優秀な介護人キャシー・Hは「提供者」と呼ばれる人々の世話をしている。生まれ育った施設ヘールシャムの親友トミーやルースも提供者だった。キャシーは施設での奇妙な日々に思いをめぐらす。図画工作に力を入れた授業、毎週の健康診断、保護官と呼ばれる教師たちのぎこちない態度…。彼女の回想はヘールシャムの残酷な真実を明かしていく─全読書人の魂を揺さぶる、ブッカー賞作家の新たなる代表作。


<感想> ★★★★★

カズオ・イシグロを読むのは『日の名残り』以来二作目になりますが、本書

もたいへん読みやすい作品でした。 前に英作品は米作品と比較すると

読みにくいと書きましたが、それって翻訳のせいかなぁ~と思いました。 

米作品ではなく英作品をチョイスする読者の嗜好を踏まえる訳というのが

あるような気がします。 そのあたりを私は苦手と感じるのかもしれません。 

一方で、本書の訳者である土屋政雄さんはカズオ・イシグロをチョイスす

る読者の嗜好を踏まえて訳しているように思います。


さて、本書は主人公の回想シーンからはじまります。 読んでいるとビミョー

な違和感を覚えますが、それは本筋に入ってからも解消することはありま

せん。 読者はその違和感の正体を見極めようと頁を進めていくわけです

が、気がつくと寄宿舎で暮らす子供たちの世界にどっぷりつかっています。 


それってもしかして・・?という想像がつくころ違和感の正体が明らかにな

ります。 しかし、それはあくまで少しずつです。 メインキャラクターの子

供たちも同様に少しずつ真実を知るようになります。 それは私たちが少

しずつ大人の世界を知って行った過程と異なることはありません。 しかし、

子供たちが知る真実はあまりにも過酷です。


これ以上書くとネタばれになってしまいますが、本書は単に少女を主人公

にした成長物語としても一級品です。 特に、単行本の表紙で使われてい

カセットテープのエピソードは秀逸で、じんわりと胸に響いてきます。 


現在でも絶滅が危惧されるカセットテープですが、本書は「カセットテープ

ってなに?
」という時代になっても残る要素を兼ね備えてるように思います。 

新しいブリティッシュスタンダード。 一読の価値はあります。



  
関連記事
スポンサーサイト
 

Trackback

URL :
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

 

Comment


 

Re:「わたしを離さないで」 カズオ・イシグロ(01/16)

私もぜひ読みたいです。
「日の名残り」を読んだとき、私も翻訳者の力量を感じました。翻訳物を読みながら、翻訳者の感性を思ったのは初めてのことでした。
だから、二重にこの本が楽しみです。

 

Re:「わたしを離さないで」 カズオ・イシグロ(01/16)

一つ書き忘れちゃった。
私は絶滅の危機に瀕しているカセットテープを、本気で保護したいと考えている一人です。
語学の本など、みんなCDになっちゃってるけど、みんな不満じゃないのかなあ。
CDは、さっきのところちょっとだけ巻き戻して、もう一回聞きたいってことができないんですよね。ディクテーションなど語学学習にはまったく向きません。
最新のCDはできるのに、私が知らないだけなんでしょうか?

 

ぱぐら2さん

こんにちはぁ~♪

>私もぜひ読みたいです。
>「日の名残り」を読んだとき、私も翻訳者の力量を感じました。翻訳物を読みながら、翻訳者の感性を思ったのは初めてのことでした。

私の英語力は中一の夏休みレベルなんで詳しいことはわかりませんが、土屋さんの翻訳読みやすいんですよね。訳者によってはこだわりがあると思うんだけど、英文学系はそれが強いように思うんですよ。
ちょっと前に流行った「超訳」なんていうの別ですが、読みやすさって大切ですよね。 

>だから、二重にこの本が楽しみです。

ほい!ご堪能くださいませ♪

 

ぱぐら2さん

>一つ書き忘れちゃった。
>私は絶滅の危機に瀕しているカセットテープを、本気で保護したいと考えている一人です。

私も10年ぐらい前からMDを使ってますが、I-Podユーザーの子供たちには古い!と言われます。 ちょっと調べてみたんですが、演歌の世界ではCDとカセットの割合が半々らしいです。 まだ需要はあるようです。

>語学の本など、みんなCDになっちゃってるけど、みんな不満じゃないのかなあ。
>CDは、さっきのところちょっとだけ巻き戻して、もう一回聞きたいってことができないんですよね。ディクテーションなど語学学習にはまったく向きません。
>最新のCDはできるのに、私が知らないだけなんでしょうか?

機種によると思いますが、スキップボタンを長押しすると巻き戻しや早送りが出来るのではないかと思います。試してみてくださいませ!!

 

こちらも

お気に召したようでよかったです。


 

alisa1966さん

>お気に召したようでよかったです。

ほい!大変よかったです。
カセット使わなくなりましたよね・・

 

感動しました~(*^^*)。

こんばんは♪惹きこまれるほど美しい訳で、翻訳者の土屋氏すごいなぁと思ってしまいました(最初、カズオ・イシグロが日本語で執筆したのだと思い込んでいました…)。カセットテープのエピソード、良かったですね…!!何か、物語のお手本のよぅな…一分の隙もない構成の緻密さに圧倒されました。ノーフォークってどんな所だろう、とか想像しながら読むのが楽しかったです。初めて読む作家さんでしたが、また別の作品も読みたいと思いました。

英作品、私が一番好きなのはC.ブロンテの『ジェーン・エア』です。大久保康雄氏の訳がとても気に入っています。近年出版された光文社古典新訳文庫の訳が全然イメージと違うくて、やっぱり大久保氏の訳による、イギリスのそこはかとない落ち着いた雰囲気を感じさせる、上品な訳が素敵だなぁと改めて思いました。

 

ふわわん桜さん

こんばんはぁ~♪

>こんばんは♪惹きこまれるほど美しい訳で、翻訳者の土屋氏すごいなぁと思ってしまいました(最初、カズオ・イシグロが日本語で執筆したのだと思い込んでいました…)。カセットテープのエピソード、良かったですね…!!何か、物語のお手本のよぅな…一分の隙もない構成の緻密さに圧倒されました。ノーフォークってどんな所だろう、とか想像しながら読むのが楽しかったです。初めて読む作家さんでしたが、また別の作品も読みたいと思いました。

ご本人は5歳ぐらいまで日本で暮らしていたそうですが、その後はずっと英国なので作品はすべて英語で書かれているようです。 他の作品では『日の名残り』が圧倒的に評判がいいようです。

>英作品、私が一番好きなのはC.ブロンテの『ジェーン・エア』です。大久保康雄氏の訳がとても気に入っています。近年出版された光文社古典新訳文庫の訳が全然イメージと違うくて、やっぱり大久保氏の訳による、イギリスのそこはかとない落ち着いた雰囲気を感じさせる、上品な訳が素敵だなぁと改めて思いました。

私の読書デビューは小学生の時に読み漁っていた翻訳ミステリーですが、大久保康雄訳多かったですね。 
最近、『レベッカ』(ダフネ デュ・モーリア)の新訳が出たと聞いたのでパラパラ読みしましたが、やっぱり大久保訳の方がしっくり来るように思いました。

 
 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。