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Author:きたあかり
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02-27(日)

「色ざんげ」 島村洋子




処女をうばわれた十五の春。置屋に売られた十六歳の朝。運命の男との出会い、世を沸かせたあの殺傷事件。出所後、つかの間の幸せ。そして今―伝説の“悪女”阿部定の恋の軌跡を男たちの視点で描く連作短篇小説集。



<感想> ★★★★☆

タイトルから宇野千代の作品を思い起こされる方もいらっしゃる

と思いますが、本書は阿部定を取り上げた島村洋子さんの作品

です。 


さて、2011年の日本で阿部定事件の認知度はどれくらいでしょ

うか?事件は1936年(昭和11年)に発生していますがたびたび

映像化されていて、その流れは平成になっても絶えることがありま

せん。  1936年(昭和11年)といえば2.26事件のあった年で

すが、現在の認知度はそれ以上に高いのではないかと思われます。


本書は事件そのものを描くのではなく、彼女と関わりを持った男性

たちの視点で阿部定を描いていきます。 フィクションとの但し書き

がありますが、男性たちはすべて実名でそのあたりは虚実を織り交

ぜたというのが正しいのかもしれません。


阿部定事件の入門書としておススメします。

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02-27(日)

「わくらば追慕抄」 朱川湊人



人や物の「記憶」を読み取れるという不思議な力をもった姉の鈴音と、お転婆で姉想いの妹ワッコ。固い絆で結ばれた二人の前に現れた謎の女は、鈴音と同じ力を悪用して他人の過去を暴き立てていた。女の名は御堂吹雪─その冷たい怒りと憎しみに満ちたまなざしが鈴音に向けられて…。今は遠い昭和30年代を舞台に、人の優しさと生きる哀しみをノスタルジックに描く、昭和事件簿「わくらば」シリーズ第2弾。

<感想> ★★★★★

本書は、人や物の「記憶」を読み取れるという不思議な力をもった

姉の想い出を、その妹の回想形式で描いた『わくらば日記』の続編

です。 


さて、『わくらば日記』では明らかにされていない「秘密」がいくつか

あったわけですが、それが続編で明かされるのではないか?と期待

しました。 しかし、結果から言うなら「秘密」は解決どころか、さらに

深まってしまいました。 少々、肩透かしをくらった感も否めませんが

逆をいえばこのシリーズはまだ続くということです。 


直木賞を受賞した『花まんま』以降、朱川湊人さんが描き続ける昭和

30年代を舞台にしたノスタルジックホラーにはかなり癒されているわ

けですが『わくらば日記』に関しては、不思議な力をもった姉とその能

力を手がかりに事件を解決する刑事という設定に違和感を覚えました。  


しかし、基本的に登場人物に大きな変化のないシリーズ二作目の本書

では違和感なく読み進めることができました。 解決する「事件」の質が

異なっている点も大きいと思いますが、中心になっている姉妹はもちろ

んキャラクターのひとりひとりに著者がこめた愛情のようなものを強く感

じ取れるからだと思います。 


語り口や展開は「陽」ですが、若くして亡くなってしまった姉を語るという

前提や使われているパーツはどちらかといえば「陰」です。 二作目で

はその対比も見事でした。 三作目がとても楽しみです。


『わくらば日記』のレビュー


↓お読みになるなら、ぜひ一作目から・・・・




 
02-26(土)

「前世の記憶」 高橋克彦



慢性的な頭痛に悩まされ、催眠療法を受けた男に甦る、存在するはずのない記憶。遠足のリュックサックの中のバナナ、土盛りのダム、見覚えのない同級生たち、そして場所は暮らしたこともない岩手県盛岡…。それは前世の記憶なのか?表題作など八篇。直木賞受賞の『緋い記憶』に続く、「記憶シリーズ」第二弾。

<感想> ★★★☆☆

本書は直木賞を受賞した『緋い記憶』に続く記憶をテーマにした作品集です。


誰しもが微かに記憶している断片的な記憶。 前後の脈略はまったく憶え

ていないけど、そこだけ強烈な印象を残している。 なぜ、そこだけ憶えて

いるのか? なぜそこだけ(前後の脈略)忘れているのか? そこにはな

んらかのワケがあるのではないだろうか?そんなコンセプトで描かれてい

ます。


そこにホラーやノスタルジーの味つけがなされているわけですが、八編も

収められているわりに展開や筋立てがどれも似通っているので、正直言っ

て飽きてしまいます。 特に『緋い記憶』から読み通すと、それを強く感じ

てしまいます。 
 
02-25(金)

『蝶』  皆川博子



インパール戦線から帰還した男は、銃で妻と情夫を撃ち、出所後、小豆相場で成功。北の果ての海に程近い「司祭館」に住みつく。ある日、そこに映画のロケ隊がやってきて…戦後の長い虚無を生きる男を描く表題作ほか、現代最高の幻視者が、詩句から触発された全八篇。夢幻へ、狂気へと誘われる戦慄の短篇集。



<感想> ★★★★☆

本書は皆川博子さんの短編集です。


さて、昨年読んだ『少女外道』にはドギモを抜かれましたが、05年に

上梓された本書も同じテイストを共有する作品集です。 正直言って

完成度という点においては『少女外道』に劣るものの、詩からインス

パイアされたそれぞれの物語は儚く、それを綴る文章は限りなく美

しく妖しげです。


本書は文庫化されているので、皆川博子入門の一冊として手にとる

には最適だと思います。 


『少女外道』レビュー

 
02-25(金)

「とんび」 重松清


つらいときは、ここに帰ってくればいい。昭和37年、ヤスさん28歳の秋、長男アキラが生まれた。愛妻・美佐子さんと、我が子の成長を見守る日々は、幼い頃に親と離別したヤスさんにとって、ようやく手に入れた「家族」のぬくもりだった。しかし、その幸福は、突然の悲劇によって打ち砕かれてしまう―。我が子の幸せだけを願いながら悪戦苦闘する父親の、喜びと哀しみを丹念に描き上げた、重松清渾身の長編小説。


<感想> ★★★☆☆

私はいわゆる泣かせ系の小説が苦手です。

それ自体を否定するつもりはさらさらありませんが、泣かせどころに

くるとついつい身構えてしまいます。 地震を体験する起震車という

のがありますが、それに乗せられたのと似た感覚を味わってしまうか

らだと思います。


さて、本書は泣かせ系の本家本元、重松清さんの作品です。

昭和30年代後半から昭和の終焉までを舞台にした父子の物語です

が、それ以上に彼らの周囲を生きている人々を丁寧に描いた人情系

のドラマでもあります。


オッサン読者であれば父親であるヤスさんの立場で読んでもいいわけ

ですが、昭和37年生まれである息子のアキラと同世代ならば息子の

立場で読みすすめると、自分が過ごした子供時代を客観的に振り返

ることができます。 親はもちろんですが、近所に住んでいたオッサン

やオバサンのことを思い出して懐かしい気分にさせられます。


さらに本書を客観的に読むとするなら、戦争や貧しさから自分の父母

を知らない世代の人達が、どのように自分の家族を創っていったのか?

が第二の柱になっているような気がします。 
 
02-19(土)

「ママの狙撃銃」 荻原浩



「もう一度、仕事をしてみないか」ふたりの子どもにも恵まれ、幸福な日々を送る福田曜子の元に届いた25年ぶりの仕事の依頼。幼い頃アメリカで暮らした曜子は、祖父エドからあらゆることを教わった。射撃、格闘技、銃の分解・組み立て…。そう、祖父の職業は暗殺者だった。そして曜子は、かつて一度だけ「仕事」をしたことがあった―。家族を守るため、曜子は再びレミントンM700を手にする。荻原浩の新たな地平。“読み出したら止まらない”サスペンス・ハードボイルド。




<感想> ★★★★★

突然ですが、年末から図書館を利用しています。 今まで収めた

地方税を取り返す勢いで利用しまくっているわけですが、すげぇ~

読みてぇ!!
と思う新刊本は予約がたくさん入っていて入手困難

です。 しかし、本を返しに行って手ぶらで帰ってくるわけには行き

ません。 結果的に、これビミョーだな・・という本にまで手を出して

しまいます。 


さて、本書に関していえばビミョーどころか、ゼッタイにつまんないだ

ろうなという先入観で貸りました。 主婦がスナイパーなんて・・・・子

供のころから『ゴルゴ13』を愛読し、数多くの国際謀略モノを読んで

きた私からすればこんな設定はありえません。 ところが・・・・・

荻原浩キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!(←古いっすね・汗)

という作品でした。


念願のマイホームを手に入れた専業主婦がガーデニングにいそしむ

冒頭。 しばらくは細部にいたるまで完璧な家族小説です。 そこに

彼女の過去を知る人間から仕事の依頼が・・・ここからは完璧なハー

ドボイルド小説です。 文章自体も締まっていて、コミックでいうならい

きなり画が劇画調になった感じです。 


これ以降はそれぞれがクロスしながら展開していきますが、彼女がな

ぜスナイパーになったのか?そしてなぜ今はフツーの主婦なのかに

ついても手抜かりなく語られています。


主婦が主人公の家族小説と暗殺者を描くハードボイルド。 

相容れるはずのない二つの要素を融合させながらも無理や破綻はい

っさいありません。 


この作品も『愛しの座敷わらし』同様落しどころが気になります。 再び

狙撃銃を手にした彼女はフツーの主婦に戻ることが出来るのか?


2011年になって二ヶ月が過ぎようとしていますが、今現在今年のベス

ト1です。 残り10ヶ月これ以上の作品に巡り合いたいものです。

 
02-19(土)

「愛しの座敷わらし」 荻原浩




生まれてすぐに家族になるわけじゃない。一緒にいるから、家族になるのだ。東京から田舎に引っ越した一家が、座敷わらしとの出会いを機に家族の絆を取り戻してゆく、ささやかな希望と再生の物語。朝日新聞好評連載、待望の単行本化!



<感想> ★★★★☆

荻原浩さんといえば若年性のアルツハイマーを描いた『明日の記憶』

がすごく印象に残っていますが、作品を手にとるのは久しぶりです。  


さて、本書に関しては直木賞にノミネートされた時から気になっていま

したが、その分厚さ(450頁弱)に腰が引けていました。 どうしたら座敷

わらしをネタにこれだけ長い作品を描くことができるのか?期待と不安

が相半ばするというやつです。


結果から言うなら、本書はメインキャラクターである5人の家族が順番に

語り手となっているので、これだけの頁数を要しています。 父・母・長

女・長男・姑。 それぞれに悩みや問題を抱えていますが、家でも会社

でも空回りしている父親をユーモアたっぷりに描いているので、ほんわ

か気分で読み進めことができます。 


座敷わらしがきっかけになって家族の絆が強まり、それぞれが問題を

クリアしていくという設定は、座敷わらしを他のもの変えればハリウッド

映画にありがちな展開だなぁ~とは思いますが、頁数が残り少なくな

ると、この座敷わらし話をどのようにおとすのかが気にかかって頁を

めくる手がとまりません。 特にラスト間近の急展開に唖然とさせられ

ます。 


えっ!そんなカタチで終わりにしちまうのかよ?と思った最後の一行。 

この一行が最高に巧いです。 この一行に敬意を表して★をひとつ

プラスしておきます。

 
02-19(土)

「悪党」 薬丸岳


自らが犯した不祥事で職を追われた元警官の佐伯修一は、今は埼玉の探偵事務所に籍を置いている。決して繁盛しているとはいえない事務所に、ある老夫婦から人捜しの依頼が舞い込んだ。自分たちの息子を殺し、少年院を出て社会復帰しているはずの男を捜し出し、さらに、その男を赦すべきか、赦すべきでないのか、その判断材料を見つけて欲しいというのだ。この仕事に後ろ向きだった佐伯は、所長の命令で渋々調査を開始する。実は、佐伯自身も、かつて身内を殺された犯罪被害者遺族なのだった…。『天使のナイフ』で江戸川乱歩賞を受賞した著者が、犯罪者と犯罪被害者遺族の心の葛藤を正面から切り込んで描いた、衝撃と感動の傑作社会派ミステリ。


<感想> ★★★☆☆

本書は犯罪被害者遺族の葛藤を描き続ける薬丸岳さんの最新刊

です。 長編の多い薬丸作品ですが、この作品は連作短編形式に

なっています。 かなり読みやすい仕上がりになっていますが、そ

のぶん読みゴタエは薄まっているように感じてしまいました。 ただ、

薬丸さんが描き続けるテーマそのものはまったくぶれていません。 


愛するものが殺されてしまうという理不尽さと、その命を奪ったもの

(犯人)への憎しみ。 その立場に立たされないと感じることのできな

い苦悩を描く筆はいつもながら秀逸です。


ちょっと飛躍してしまいますが、薬丸さんの作品を読むと死刑問題な

どについても考えさせられます。 前段で申し上げたとおりに読みゴ

タエには若干の不満が残りますが、薬丸作品の入門書としてはおス

スメできる作品です。


 
02-18(金)

「ボーダー&レス」 藤代泉




この世界はどこにだって、見えない溝がある。たとえば僕ら二人の間にも。─新入社員の僕とソンウの友情を描く話題の青春小説。第46回文藝賞受賞作。




<感想> ★★★☆☆

本書は第142回(2009年下半期) 芥川賞候補作です。 

社会人デビューしたばかりの主人公と在日コリアンの同僚との友情を

描いた作品です。


さて、読み始めてみると洗練されたスタイリッシュな文章は良くも悪く

も現代的です。 そこに「在日」という比較的重いテーマをどう絡めて

いくのかなぁ~と思いつつ読みすすめましたが、テーマから逃げるこ

となく真正面から描かれていると感じました。


芥川賞の選評で宮本輝さんが「血肉がない」と書いています。 たし

かにこのテーマで描かれた従来の作品と比較するならそういうことに

なるのかもしれません。 しかし、現代の若い世代がこの問題に向き

合うというのは、このようなことではないか?などと感じました。

 
02-13(日)

「悪と仮面のルール」 中村文則


父から「悪の欠片」として育てられることになった僕は、「邪」の家系を絶つため父の殺害を決意する。それは、すべて屋敷に引き取られた養女・香織のためだった。十数年後、顔を変え、他人の身分を手に入れた僕は、居場所がわからなくなっていた香織の調査を探偵に依頼する。街ではテログループ「JL」が爆発騒ぎを起こし、政治家を狙った連続殺人事件に発展。僕の周りには刑事がうろつき始める。しかも、香織には過去の繰り返しのように、巨大な悪の影がつきまとっていた。それは、絶ったはずの家系の男だった─。刑事、探偵、テログループ、邪の家系…世界の悪を超えようとする青年の疾走を描く。芥川賞作家が挑む渾身の書き下ろしサスペンス長編。


<感想> ★★★★★

やたら暗くて重い作品が多い芥川賞作家の中村文則さんですが、

近作では少しづつエンタメ方向にシフトしているような印象を受け

ます。 本書に関しても万人が好むエンタメ作品とまでは言いませ

んが、あらすじにある芥川賞作家が挑む渾身の書き下ろしサスペ

ンス長編。
は本書を正確に表現しています。


さて、そんなあらすじを読むとカオスな印象を受けるかもしれません

が、それほど複雑な展開ではありません。 独特の緊張感とキレの

ある文章はサスペンスとの相性もばっちりです。 テンポアップした

筆運びも上滑りすることなく読者を適切に導いていきます。 


中村文則さんの近作は「悪」をテーマにしていますが、それもぶれ

ることはありません。 端的に言うなら、今までのクオリティーを維

持したエンタメと言ったところです。


この一冊で中村文則さんは大化けしたなどと言うつもりはありませ

んが、今まで以上の読者を想定して書かれた作品であることはた

しかです。 今までの作風から敬遠していた方を含めて、クオリティ

ーの高いエンタメ作品をお読みになりたい方に強くおススメします。



 
02-12(土)

「ファミリーツリー」 小川糸




だって、僕たちはつながってる。厳しくも美しい自然に囲まれた場所で、少年はかけがえのないものを知る。命のきらめきを描き出す、渾身の一作。新しい小川糸がここに。




<感想> ★★☆☆☆

本書は小川糸さんの三作目の小説です。 

『食堂かたつむり』が多くの読者に受け容れられました。 二作目の

『喋々喃々』は不倫をテーマにしてしまったせいで、一部の読者層

から猛反発を受けていたようですが、作家としては王道を歩みつつ

あるのかなぁ~などと思いました。 


さて、三作目の本書ですがかなりビミョーです。 二作目を引きずっ

ているであろうと思われるア○ゾンの恣意的な読者レビューを肯定

するつもりはさらさらありませんが、それを完全否定するのも難しい

というのが正直な感想です。 


もちろん小川糸さんは並以上の実力をお持ちだと思います。 二

作目でブーブー文句を垂れていた読者層をぎゃふんと言わせる作

品を期待していただけに、ちょいとザンネンです。 

四作目も出ているようなので、そちらに期待したいと思います。


『食堂かたつむり』レビュー

『喋々喃々』レビュー


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02-10(木)

「TOKAGE 特殊遊撃捜査隊」 紺野敏




大手都市銀行の行員3人がさらわれる誘拐事件が発生した。身代金要求額は10億円。警視庁捜査一課特殊犯係の上野数馬は、覆面捜査専門のバイク部隊「トカゲ」のメンバーとして、東京・大阪間を駆け巡り、初めての誘拐犯逮捕に挑むが…。



<感想> ★★★☆☆

本書は紺野敏さんの特殊遊撃捜査隊シリーズ(既刊2冊)の第一

作です。 警視庁特殊捜査課のバイク部隊「トカゲ」に属する警察

官を主人公にしたシリーズ作品で、本書は企業誘拐に携わる彼

らを描きます。 


紺野作品らしく警察内部の描写や犯人との駆け引きが秀逸です

が、特に警察に張付く新聞記者のキャラクターが練れていて、最

後まで飽きることなく読み進めることができました。


ただ、読者を引っ張っていく牽引力は相変わらずですが、他の

紺野作品と比較するなら掘下げがちょっと甘いかなぁ~という気

がしました。 
 
02-09(水)

「名短篇、さらにあり」 北村薫・宮部みゆき編


『名短篇、ここにあり』では収録しきれなかった数々の名作。人間の愚かさ、不気味さ、人情が詰った奇妙な12の世界。舟橋聖一「華燭」、永井龍男「出口入口」、林芙美子「骨」、久生十蘭「雲の小径」、十和田操「押入の中の鏡花先生」、川口松太郎「不動図」、吉屋信子「鬼火」、内田百けん「とほぼえ」、岡本かの子「家霊」、岩野泡鳴「ぼんち」など。文庫オリジナルでご堪能下さい。


<感想> ★★★★☆

本書は北村薫さんと宮部みゆきさんが編者となったアンソロジー

『名短篇、ここにあり』の追加版です。 


さて、本書には12の短篇が収められていますが、『名短篇、ここに

あり』
と比較するなら、かなり渋めのラインナップになっています。


華燭(舟橋聖一)/出口入口(永井龍男)/骨(林芙美子

雲の小径(久生十蘭)/押入の中の鏡花先生(十和田操)

不動図(川口松太郎)/紅梅振袖(川口松太郎)

鬼火(吉屋信子)/とほぼえ(内田百けん)

家霊(岡本かの子)/ぼんち(岩野泡鳴

ある女の生涯(島崎藤村



林芙美子『骨』は病弱の父と肺結核の弟を抱えた戦争未亡人の話。 

おそらく十回以上読んでいると思いますが、読むたびに胸に迫ってく

る作品です。 


吉屋信子『鬼火』はガスの集金人が主人公。 ホラーチックな展開と

オチに使われる帯が印象的な作品でした。


十和田操って誰?状態ですが『押入の中の鏡花先生』は、とぼけた文

章が味わい深く感じられました。


黒で表記した作家の作品は著作権が切れているので、青空文庫で読

むことができます。


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02-06(日)

1月の書籍代 その1


年明けにワイルドに生きるという目標を掲げたわたしですが、

その第一弾として、年休消化を口実に休みをとりまくる・・・・

「サザエさんを明るい気分で見ようぜ!!ラッキーマンデーキャンペーン」

を開催中です。

おかげさまで、1月のノルマは大幅に落としてしまいましたが、

イルドに生きる
ことに決めたので、気にせず精進して参る所存

です。 恐ろしいのはイレギュラーの人事発令ですが、まぁ~そ

れは、そのときに考えることにします。

       

というわけで1月の書籍代です。

20冊  925円 (@46円)

↑おそるべき図書館利用効果です。

「今まで支払った住民税をすべて取り返すまで読みまくるぜ!キャンペーン」

も同時開催中です。

今月の大当たりは・・・・

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当たりは・・・・
 
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1月の読書メーター
読んだ本の数:20冊
読んだページ数:5605ページ

ちはやふる(8) (BELOVEKC)ちはやふる(8) (BELOVEKC)
読了日:01月31日 著者:末次 由紀
モダンタイムス (Morning NOVELS)モダンタイムス (Morning NOVELS)
テンポのいい村上春樹(「羊をめぐる冒険」あたり)という感じを受けました。 ヨーシャなく面白かったっす!!
読了日:01月29日 著者:伊坂 幸太郎
敵影敵影
読了日:01月24日 著者:古処 誠二
きいろいゾウ (小学館文庫)きいろいゾウ (小学館文庫)
読了日:01月23日 著者:西 加奈子
文士の意地 下―車谷長吉撰短篇小説輯文士の意地 下―車谷長吉撰短篇小説輯
「いのちの初夜」のみ再読でした。こんな小説を読んでいるとあんな小説が描けるのかなぁ~一般受けするとは思いませんが、長吉さんセレクトはどれも読みゴタエ十分!!「骨餓身峠死人葛」野坂昭如さんの本気を見ました。
読了日:01月17日 著者:
最後の命 (講談社文庫)最後の命 (講談社文庫)
読了日:01月14日 著者:中村 文則
ちはやふる 7 (Be・Loveコミックス)ちはやふる 7 (Be・Loveコミックス)
読了日:01月13日 著者:末次 由紀
黄色い虫 ─船山馨と妻・ 春子の生涯─黄色い虫 ─船山馨と妻・ 春子の生涯─
春子さんのワイルドさにドキモを抜かれました。NHKのテレビ小説でドラマ化して欲しい!タイトルは「ひろぽんの女房」(笑)船山馨は過去の作家かもしれないけど、周囲を取り巻く作家からその人物像を浮かび上がらせる手法は巧みだと感じました。
読了日:01月13日 著者:由井 りょう子

その2へ・・・・↓
 
02-05(土)

1月の書籍代 その2


その2です。


私たちには物語がある私たちには物語がある
最後の一行に激しく同意♪私も愉快に暮らしていけそうです。
読了日:01月12日 著者:角田 光代
光媒の花光媒の花
う~ん。 申し分ないんだけど、道尾秀介さんの迷走ぶりも垣間見えた気がします。 才能のある作家さんだと思うので早く直木賞あげちゃってください!
読了日:01月12日 著者:道尾 秀介
月島慕情 (文春文庫)月島慕情 (文春文庫)
「ここ泣くところだから、しっかり泣かんかい!」的な文章に反発を抱いて浅田次郎さんの作品はクールに読んでいましたが、今回は負けてしまいました。 たぶん年のせいだと思います。(笑)
読了日:01月07日 著者:浅田 次郎
不思議島 (創元推理文庫)不思議島 (創元推理文庫)
古典的な手法ですが、ミステリーに恋愛小説の要素を加えると良質なサスペンスになるというお手本のような作品。 盤石だと思っていた足元が揺らぎはじめる不安や焦りがよく描けていたように思います。 直木賞候補のわりにはジミですがこういうタイプの作品はすごく好きです。
読了日:01月07日 著者:多島 斗志之
箕作り弥平商伝記 (講談社文庫)箕作り弥平商伝記 (講談社文庫)
読みやすいんだけど語り口が軽すぎるような気がします。 『邂逅の森』以上の作品が読みたいです。  追記:オエダラ箕について調べてみました。 この作品の意味は別なところにあるかもしれない・・などと思いました。
読了日:01月06日 著者:熊谷 達也
手
ナオコーラさんお得意のキャラでサクサク読めました。 私はオッサンですが大河内さんはオッサンとして失格ですな。
読了日:01月05日 著者:山崎 ナオコーラ
昭和質店の客昭和質店の客
佐江衆一さんは初読みですが構成が巧みですね。 最後の章で平和の有難さを強く感じました。 満州の話は散々聞いたり読んだりしていますが、これほど感情移入できた作品はありませんでした。 読みやすいつくりになっているので若い人にも読んでもらいたいです。
読了日:01月05日 著者:佐江 衆一
きりこについてきりこについて
『さくら』は犬だったけど今回は猫。 猫好きにはこたえられない一冊です。 猫の名前の語尾に二世をつけたくなりました。
読了日:01月03日 著者:西 加奈子
湯けむりスナイパー VOLUME1 (マンサンコミックス)湯けむりスナイパー VOLUME1 (マンサンコミックス)
読了日:01月03日 著者:ひじかた 憂峰
球体の蛇球体の蛇
変な仕掛けがない分、純粋に小説として楽しめました。 かなり重い展開ですが、スノードームを思わせる世界観の構築や描き方は秀逸だと感じました。
読了日:01月01日 著者:道尾 秀介
傷だらけの天使 魔都に天使のハンマーを傷だらけの天使 魔都に天使のハンマーを
ドラマの雰囲気と矢作さんの描く世界は相容れないのではないか思っていたけど、なかなか面白く読めました。 これからお読みになる方は全話とはいいませんが、最終回ぐらいは観たほうがいいかもしれません。 ・・・真ん中の映画館では”相棒”って映画の舞台挨拶を・・(←P188)ニンマリしました。(笑)
読了日:01月01日 著者:矢作 俊彦
キュア cureキュア cure
前半は『アンテナ』や『コンセント』を思わせたけど、後半はスピリチュアルの要素を強く感じました。 ひとことで言えば混沌とした感じなんだけど、それらを巧くまとめて表現できるのはランディーさんの才能なのかなぁ~と思います。 
読了日:01月01日 著者:田口 ランディ

読書メーター

 
02-05(土)

「敵影」 古処誠二



昭和二十年八月十四日、敗戦の噂がまことしやかに流れる沖縄の捕虜収容所で、血眼になって二人の人間を捜す男の姿があった。一人は自らの命の恩人・ミヨ、もう一人はその恩人を死に追いやった男・阿賀野。執念の調査は、やがてミヨのおぼろげな消息と、阿賀野の意外な正体を明らかにしていく―。



<感想> ★★★☆☆

ア○ゾンの読者レビューを読んでいたら、古処誠二さんは不思議な

作家であると指摘されている方がいました。 戦争をまったく知らな

いはずなのに、どうしたらこんなに生々しく戦争を描くことができるの

か?


元自衛官という肩書きを持っているせいもあると思いますが、この取

材力と描写力には作品を読むたびに唸らされます。 まぁ~読んで

いる私も戦争を知らないので、その検証はできないわけですが・・・。


さて、本書の舞台は敗戦直後の沖縄です。 米軍の捕虜となった主

人公が捕虜になるまでと、収容所での日々が描かれています。 戦

闘シーンがほとんどないので他の古処作品と比較するならジミな印

象が拭えませんが、捕虜となった将と兵の対立。 日系人米兵との

関わり、ひめゆり学徒隊と思われる少女とのやりとりなど、私が知り

えている数少ない戦争に関する知識とことごとく一致します。 


それを踏まえるなら、本書も東京オリンピック以降に生まれた新人類

が書いたエンターテイメント小説ではないことは明らかです。


しつこいようですが、私はそれを検証する手段を持ちません。 

しかし、本書も含めて古処作品には戦争の本質のようなものが描か

れているのではないかと強く感じています。若い人に読んでいただ

きたい一冊です。

 
02-01(火)

「きいろいゾウ」 西加奈子


夫の名は武辜歩、妻の名は妻利愛子。お互いを「ムコさん」「ツマ」と呼び合う都会の若夫婦が、田舎にやってきたところから物語は始まる。背中に大きな鳥のタトゥーがある売れない小説家のムコは、周囲の生き物(犬、蜘蛛、鳥、花、木など)の声が聞こえてしまう過剰なエネルギーに溢れた明るいツマをやさしく見守っていた。夏から始まった二人の話は、ゆっくりと進んでいくが、ある冬の日、ムコはツマを残して東京へと向かう。それは、背中の大きな鳥に纏わるある出来事に導かれてのものだった―。

<感想> ★★★☆☆

本書は西加奈子さんの三作目にあたる作品です。 デビュー作の

『あおい』では独特のキレ味を、二作目の『さくら』は癒し系路線で

25万部のベストセラーとなりました。 


さて、その次作である本書はいい意味でも、そうでない意味におい

ても二作品をミックスしたような読み味になっています。 語り口は

軽くて読みやすい上に、関西弁を駆使した会話はなんとも味があ

ります。 


都会から田舎にやってきた不思議ちゃん夫婦の癒し系小説として

だけ読むとするなら格段に優れています。 ただ、たびたび物語が

深いところに入っていくので、そのバランスがうまく保たれていない

ように感じました。 おそらく西加奈子さんの本領は後者において

発揮されるように思うので、そこをもっと味わいたいと感じる読者に

とっては中途半端感が否めません。


しかし、読者が深読みしようという欲を出さず、素直に読めば感動で

きる一冊になりえます。


ちなみに、たびたび差し挟まれる「きいろいゾウ」の話は西加奈子さ

んのオリジナル。 こんな絵本も出ているようです。 


 
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