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08-29(日)

「激流」 柴田よしき


京都。修学旅行でグループ行動をしていた七人の中学三年生。知恩院に向かうバスで、その中の一人の女生徒・小野寺冬葉が忽然と消息を絶った─。二十年後。三十五歳となった六人に、突然、失踪した冬葉からメールが送られてくる。「わたしを憶えていますか?」運命に導かれて再会した同級生たちに、次々と不可解な事件が襲いかかる…。


<感想> ★★★★☆

本書は900頁、文庫二冊組の長編ミステリーです。 柴田よしきさん

の作品はそこそこ読んでいるつもりですが、長ければ長いほど面白

いように思います。


さて、本書をミステリーの側面から言うなら、展開に無理があったり、

ご都合主義的だなぁ~と思う箇所がいくつも見受けられますが、同級

生が忽然と行方不明になってしまうという奇異な体験をした少年・少

女6人の群像劇として読むならおそらくパーフェクトな作品と言えると

思います。 誰が主人公というわけではありませんが、それぞれのキャ

ラが立っています。 縦軸にはミステリーという要素があるわけですが、

現代の35歳というキーワードが横軸にあって、それだけでも小説として

成立するような気がします。 また、登場人物それぞれの断片的な記

憶が繋ぎ合わさり、ひとつのカタチを組み立てていくあたりも秀逸でした。 


冒頭で長ければ長いほど面白いと申し上げましたが、これだけの長さ

の作品であるにも関わらず作品を支配している緊張感は最後まで緩む

ことはありません。 ある程度の緩急があった方が読みやすいのかもし

れませんが、読み終えたあとのヘロヘロ度合いは、読みゴタえある作

品を読んだバロメーターのようなものではないかと思います。


失踪ものフェチの方はもちろん。 旅先に持っていく本としてもおスス

メします。 どうか、至福の時間をお過ごしくださいませ。


shibatay

↑柴田よしきさんのTwitterです。


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08-25(水)

「リアル・シンデレラ」泉さんからの手紙



リアル・シンデレラ

リアル・シンデレラ

価格:1,785円(税込、送料別)



姫野カオルコさんの公式HPに『リアル・シンデレラ』の

ヒロイン倉島泉さんからの手紙が掲載されています。

お元気そうです(笑)

倉島泉さんからのはがき


 
08-22(日)

夏休みの振り返り


夏休みは今日で終わり。

私の夏が暮れていきます・・・・・


8月14日(土) 親戚宅にお盆の挨拶。 
           何度いわれてもお酒は飲めないんだけど・・・


8月15日(日) お盆で帰省したにも関わらず、ほとんど家にいなかった
           長女が金を鷲づかみにして帰る。


8月16日(月) エアコンのリモコンが行方不明。 
           部屋がアラスカ並みに冷えて寒い思いをした上に、
           仕事から帰ってきた奥さんから電気代について強い
           叱責を受ける。


8月17日(火) 友達に会いに大宮まで行く。 
           湘南新宿ラインの速さと大宮駅東口のディープ
           さ具合に驚く。 
           帰りに駅近ブック○フのある西川口で途中下車。 
           駅前がやたらと健全化されていて、またまた驚く。 
           彩の国は驚きの連続だった。  



8月18日(水)  洗濯祭り開催。   
           マイ冷蔵庫感謝祭(←霜取り)も同時開催。


8月19日(木)  横浜に行く。 
           京急大師線のまったり感はもっと評価されるべき。

P1030786
P1030786 posted by (C)きたあかり



8月20日(金)  近所からもらったピーマンをどうしようかと考えていたら
           一日が終わる。 そろそろ憂鬱になってくる。


8月21日(土)  家にいても憂鬱になるばかりなので、松戸の博物館行く。 
           展示されている団地の「三丁目の夕日」さ具合に驚く。




8月22日(日)  失意のどん底のなかでカビキラー祭り開催。
           今日は『笑点』と『サザエさん』をみる勇気がない。

 カビキラー 本体400g

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価格:365円(税込、送料別)



          
 
08-22(日)

「反時代的毒虫」 車谷長吉


私小説における「虚点」とは何か。命の通った言葉、通わない言葉とは何か。いかに女を描くか。創作と金をめぐる関係とは。小説とは、「虚実皮膜の間」に漾う人が人である謎を書くことである。異形の作家が私小説の真髄を語り尽くす。江藤淳、白洲正子、水上勉、河野多恵子、奥本大三郎、中村うさぎ、高橋順子。反時代的毒虫と七人の「魂の対話」。


<感想> ★★★★☆

本書は車谷長吉さんの対談集。 読み続けているとトンでもない人間

になってしまうそうな気がして、最近車谷作品には手を出していませ

んが、対談集ならよかろう!ということで読んでみました。


対談相手は、江藤淳、白洲正子、水上勉、河野多恵子、奥本大三郎、

中村うさぎ、高橋順子(嫁はん)
の各氏。 


対談相手を見て、おぉぉ!と思うのは中村うさぎさんです。 この人の

ぶっ飛びぶりは、どこまでが実で、どこからが虚なのかまったく理解で

きませんが長吉さんは以下のように斬りこんでいます。

・・・あなたのはかなり芸なんだよね。 

要するに漫才や落語みたいな芸なのよ。


このあとの対談は鬼気迫るものがあります。 私はうさぎさんを少しだ

け見直しました。


個人的には、ブンガク論から貧乏話。 果ては女性の話までに至る

上勉
との一問一答は読み応えがありました。  すえた匂い。 とい

う言葉がたびたび出てきますが、この二人の作家の共通点かもしれ

ません。


江藤淳、白洲正子も鬼籍に入りましたが、時期的に対談はその直

前になされているようです。 高橋順子さんとの対談はNHKラジオ

で放送されたものを文字に起こしたものです。 あんな小説を書く

上に、最近は朝日新聞の人生相談コーナーでズバズバと回答をし

ている長吉さんですが、このデレデレ振りは何なんでしょうか?


車谷長吉さんに興味がある方はもちろん。 対談相手に興味がある

という方におススメします。

 
08-21(土)

「バーにかかってきた電話」 東直己

バー

いつものバーで、いつものように酒を呑んでいた「俺」は、見知らぬ女から、電話で奇妙な依頼を受けた。伝言を届け相手の反応を観察してほしいという。疑問を感じながらも依頼を果したのだが、その帰り道、何者かによって殺されそうになった。そして、ひとり調査を続けた「俺」が知ったのは依頼人と同じ名前の女が、地上げ放火ですでに殺されていたことだった。     バーにかかってきた電話


<感想> ★★★★☆

北海道在住の東さんはそれほどメジャーな存在ではありませんが、

国産ハードボイルドを読む人たちの間で評判のいい作家さんです。 

国産ハードボイルドはアタリ・ハズレのギャップが大きいのであまり

期待はしていませんでしたが、いい意味で裏切られました。


ススキノを舞台に素人探偵の「俺」が活躍・・・・なんて書くと78%ぐ

らいの確率でつまらない小説を想像しちゃうわけですが、文章を読

む限り著者はバリバリのチャンドリアン(レイモンド・チャンドラーフ

ァン)のようです。 若干軽いかなぁ~という気がしますが、基本をし

っかり抑えたハードボイルド作品です。


「・・・・私の家の近くに、児童公園があるの」

「へぇ。 そりゃ素晴らしい」

「そこで、子供たちが遊んでいるんだけど、中にひとり、悪いのがい

るのね。 他人のおもちゃを黙って使っては壊したり、なくしたり、

他人の自転車をワザと壊したり、それで、ケンカになるわけよ。 す

ると悪ガキの十八番があってね。 『証拠があるのか!証拠がある

のか!』ってね」

「面白いね」
 
「でしょ?証拠がなけりゃ、許されると思っているのね、その子は」
 
「バカだね」

「そう。バカ。でも、その子はきっと将来成功すると思うわ。 おもしろ

おかしく暮らしていけると思う。 こんな国のこんな社会では、ね」

「確かにね。 素晴らしい話だ」


ちょっと長いけど、私がぐぐっと来たところを引用しました。

私同様、ぐぐっと来た方は読んでみてください。 

読み終えたあとに、この箇所を読み返すとさらにぐぐっときます。

初読みの作家さんでしたが、しばらく読んでみようと思います。
 
08-19(木)

大人の社会科見学 横浜編


夏休みも後半に入りました。 

寝たきり中年状態なので、横浜で博物館巡りをしてきました。

当初は5ヶ所を予定したものの、家を出たのがお昼近くになってしまったので、

3ヵ所しか行けませんでした。

 
日本郵船歴史博物館
 
P1030790
P1030790 posted by (C)きたあかり


明治18年(1885年)に創業した日本郵船の歴史が凝縮されていますが、

それは同時に日本の海運の歴史でもあり、近代日本の道筋を辿ること

です。 館内は撮影禁止のため写真はありませんが、数ある展示物の中

では、豪華客船華やかなりし頃(1920~40年代)の展示物や資料が見

応えがありました。 

ここの入場料を払うと「氷川丸」の入場料が無料になります。 

平日だからかもしれませんが、ドリンクの無料コインをいただきました。

みなとみらい線「馬車道駅」6番出口より徒歩3分。




神奈川県立歴史博物館

P1030804
P1030804 posted by (C)きたあかり


ここは展示物云々というより、建物がすげぇ~です。

近代建築フェチにとって横浜は街全体が博物館のようなものです

が、旧横浜正金銀行本店の建物は、その中にあって独特の存在

感があります。 写真は正面玄関の天井にあるステンドグラス。

縄文時代から近代までの歴史に関する展示物が数多く公開され

ていました。 

個人的にツボだったのは近代。  戦時中アメリカ軍が空から蒔い

宣撫ビラ「防共将棋」なるものが印象的でした。 ここも展示

室は撮影禁止です。 って言うか・・ここは展示室以外でも写真撮影をしない

方がいいかも・・という噂もあります。 ホントにそれはあくまで噂っす・・・


みなとみらい線「馬車道駅」5番出口より徒歩1分。




氷川丸

氷川丸
氷川丸 by (C)きたあかり


2006年の末に公開が中止になりましたが、管理会社が日本郵船

に変わって2008年にリニューアルオープンしました。 

公開中止前と比較すると若干変わったような気もしますが、アール

デコの殿堂であることに変わりはありません。 他の博物館とちが

って開放的な雰囲気なので、小さい子供さん連れでも大丈夫です。

興味のある方は上の写真をクリックしてください。

みなとみらい線「元町・中華街駅」 1番出口より徒歩3分



ホテル・ニューグランド

P1030884
P1030884 posted by (C)きたあかり


時間とお財布に若干の余裕があるなら

ホテルニューグランド本館の ザ・カフェ

でひと休み。 開業は1927年。本館は

当時のまま営業を続けています。

みなとみらい線「元町・中華街駅」 1番出口より徒歩1分



主な移動手段は公共交通機関が便利です。 

エリア内乗り降り自由の切符が各社から出ています。


エリア内のみフリータイプ

横浜市営交通A (エリア内の市営バス・地下鉄が乗降り自由※)

横浜市営交通B (10時~16時まで、特定路線を走るバスの一部区間が乗降り自由)

みなとみらい線 (みなとみらい線が乗降り自由※)

JR東日本 (エリア内のJR根岸線とみなとみらい線が乗降り自由)


往復乗車券つきタイプ

京急 (往復乗車券+エリア内の京急線・地下鉄・市営バス・みなとみらい線が乗降り自由※)

東急 (往復乗車券+みなとみらい線が乗降り自由)

相鉄A (往復乗車券+エリア内の市営バス・地下鉄が乗降り自由※)

相鉄B (往復乗車券+みなとみらい線が乗降り自由※)


※京急・横浜市交通局A・みなとみらい線・相鉄A・相鉄Bは、エリア内の

施設で割引などが受けられます。 詳しくはリンク先をご覧ください。

 
08-18(水)

「ひそやかな花園」 角田光代



親と子、夫婦、家族でいることの意味を根源から問いかける。『八日目の蝉』から三年。衝撃と感動に震える、角田光代の最高傑作誕生。




<感想> ★★★★★

本書は、毎日新聞「日曜くらぶ」に4月まで連載されていたものです。 

発売と同時にゲットしましたが、二年半ぶりの長編を集中して読みたい

ので一昨日まで未開封のまま放置してありました。 そのほとんどを電

車の中で読みましたが至福の時間が惜しくて、快速をやり過ごし各駅

停車を乗り継いで帰ってきた次第です。 (笑)


登場人物の一人が、子供時代のおぼろげな記憶を語りだす冒頭。 

両親とともに参加していたサマーキャンプ。 しかし、記憶の糸は突然断

ち切られます。 あのキャンプは何処で開かれていたのか?そして、参

加している自分以外の子供たちはどこの誰だったのか?そもそもキャン

プの目的はなんだったのか?エンターテイメント形式で読者を物語りに

引きずりこんでいく手腕は、いい意味でベストセラー作家の実力を見せ

つけられます。 しかし、物語の核はそれらが明らかになったあとに用意

されています。  


というわけで、ネタばれしてしまうのでこれ以上は書きません。

ただ、この作品のテーマは女性が直面するであろう、もっとも厳しい局面

での選択がその後どのような結果をもたらしていくのか?だと思います。 

しかし、この作品はその是非を問うものではありません。 この問題に限

らず、熟慮した選択が結果的に誤りだったと気がついてしまった時に味

わう絶望の先にはなにがあるのか?少なくてもそこには、選択したから

こそ残された何かがあるのではないか?そんな問い掛けがなされている

ように思いました。


ネタばれを恐れたせいで、まったく意味不明なレビューになってしまいまし

たが、読後感も悪くないし、ラスト近辺で私は二回ほど泣いちまうところで

した。 ただ、意地悪を言うなら登場人物が多すぎて、そのあたりの書き

分けがちょっと甘いような気がします。 そのあたりはきっちり押さえて読

みすすめてみてください。 私は角田さんの十八番キャラである紗有美を

軸にしました。 


もう一回『八日目の蝉』のような作品を読みたいとお考えの方には、ヨーシ

ャなくおススメです。

 
08-15(日)

洋楽アニソン対決


昨日から夏休みに突入しましたが、活動資金が著しく

不足しているので、寝たきり中年と化しています。

積読を崩しながら、夏休みを消化する所存です。


先日、観たCMに「天才・バカボン」のフランス語バージョンが

使われていました。 なんじゃこりゃと思いつつ、この声の主は

この人↓に違いない!!と思い検索してみました





収録曲は・・・・↑「試聴する」をクリックすると各曲45秒聴けます。

1.ラムのラブソング (アニメ『うる星やつら』OP)
2.バカボン・メドレー
3.崖の上のポニョ (アニメ映画『崖の上のポニョ』主題歌)
4.おどるポンポコリン (アニメ『ちびまる子ちゃん』OP)
5.風の谷のナウシカ (アニメ映画『風の谷のナウシカ』シンボル・テーマ・ソング)
6.はじめてのチュウ (アニメ『キテレツ大百科』ED)
7.ロマンティックあげるよ (アニメ『ドラゴンボール』ED)
8.サザエさん・メドレー
9.ドラえもんのうた (アニメ『ドラえもん』OP)
10.とんちんかんちん一休さん (アニメ『一休さん』OP)
11.タッチ (アニメ『タッチ』OP)
12.CAT'S EYE (アニメ『キャッツ・アイ』OP)

1.ラムのラブソング6.はじめてのチュウがピカイチです。
10.とんちんかんちん一休さんは????でした。



さらに調べていたらもう一人。

本国(スウェーデン)ではイマイチだったようですが、

日本でこの曲↓がバカ売れしたメイヤ。





収録曲は・・・・↑「試聴する」をクリックすると各曲45秒聴けます。

1.となりのトトロ (「となりのトトロ」より)
2.Arrietty's Song (「借りぐらしのアリエッティ」より)
3.もののけ姫 (「もののけ姫」より)
4.ルージュの伝言 (「魔女の宅急便」より)
5.テルーの唄 (「ゲド戦記」より)
6.君をのせて (「天空の城ラピュタ」より)
7.崖の上のポニョ (「崖の上のポニョ」より)
8.風の谷のナウシカ (「風の谷のナウシカ」より)
9.カントリー・ロード (「耳をすませば」より)
10.いつも何度でも (「千と千尋の神隠し」より)
11.世界の約束 (「ハウルの動く城」より)

クレモンティーヌのような飛び道具感はありませんが、
完成度は高いように思います。 9.カントリー・ロード
は日本語で唄ってます。 

 
08-14(土)

「喪失記」  姫野カオルコ




33歳、処女。「女」であることを許さずに生きてきた歳月をいまゆっくりと咀嚼する…あまりにも素直であまりにも残酷な、生身の女の告白。



<感想> ★★★★★

やっぱ姫野カオルコさんスゴいっす。 私は今までこの作家をナメていた

かもしれない・・ そんなことを思った一冊でした。


さて、本書の主人公は33歳のイラストレーターです。 ふとしたきっかけ

で、頻繁に食事をするようになった男との会話を通して、一人の女性の

内面と社会との関わりを描いていきます。 


あらすじにも書かれている33歳、処女。が気になりますが、それを殊更

クローズアップすると、本書の核心に触れることなく読み終えてしまうこ

とになりかねません。 一人称語りで描かれる主人公の少女時代に注

目して読むと、多感な時期に経験したことが少女のその後にどのよう

に作用していくのかが、残酷にそして容赦なく描かれています。 これこ

そが本書のメインテーマだろうと思います。 


セックス云々ではなく、自分を女性として生きていくことを許さない主人

公の圧倒的な孤独と、圧力鍋の内側を思わせる主人公の心理描写が

秀逸でした。  


著者の生育暦ともかさなる本書は自伝的な要素が強いと言われてい

ます。 それを踏まえるなら『ツ・イ・ラ・ク』『リアル・シンデレラ』の読

み方も少し変わってくるかなぁ~と思います。


ちなみに本書は処女三部作の二作目です。

それぞれ主人公は異なるようですが、『ドールハウス』→本書→『不倫

(レンタル)』
の順番で読むのが王道のようです。

 
08-08(日)

「ふがいない僕は空を見た」 窪美澄


これって性欲?でも、それだけじゃないはず。高校一年、斉藤卓巳。ずっと好きだったクラスメートに告白されても、頭の中はコミケで出会った主婦、あんずのことでいっぱい。団地で暮らす同級生、助産院をいとなむお母さん…16歳のやりきれない思いは周りの人たちに波紋を広げ、彼らの生きかたまでも変えていく。第8回「女による女のためのR‐18文学賞」大賞受賞、嫉妬、感傷、愛着、僕らをゆさぶる衝動をまばゆくさらけだすデビュー作。


<感想> ★★★★☆

本書は「女による女のためのR‐18文学賞」大賞を受賞した『ミクマリ』

を中心に据えた連作短編集です。 先日も書きましたが、選考委員の

角田光代さんと山本文緒さんがツイッターで激ホメしていたので購入し

てみました。 


新潮社の主催する「女による女のためのR‐18文学賞」ですが、実力

派の女性作家を数多く輩出しています。 ぶっちゃけエロい小説に贈

られる賞ですが、女による女のための・・というあたりがポイントです。 

売れ筋の女性作家でも苦手とされる性描写。 それには並々ならない

表現力と描写力が求められます。  男性向けならフランス書院なんて

いう老舗もあるわけですが、その点ではまったく新しい分野なのかもし

れません。 ちなみに、現代エロ小説の祖である宇野鴻一郎芥川賞

作家。 川上宗薫も純文学出身の作家だったりします。


さて、前置きが長くなりました。 受賞作の『ミクマリ』は、ひとことで言う

なら腐女子の主婦がコミケで知り合った高校生とエッチしまくる内容で

すが、それだけではなく主人公の男子高校生が周囲を語る視線が新

鮮です。 ただ、難を言うなら勢いで書かれてしまった感が否めません。 

まぁ~それも実力のうちですが、女性がこれを読んでどう評価するのか

判断がつきません。 


しかし、ここで止めてしまうと大損をすることになります。 次の章では主

人公の相手である主婦の目線、主人公に思いを寄せる同級生の視点と

続きますが、不妊問題を絡めて一作ごとに読み応えが増して行きます。 

特に主人公の友人と母親を語り手にする後半の二作は秀逸で、83%ぐ

らいの確率で泣いちゃうと思います。


本を閉じる際には、この賞がまたひとり、将来有望な女性作家を見出した

のではないだろうか?などという気持ちになりました。

 
08-07(土)

「黒百合」 多島斗志之

「六甲山に小さな別荘があるんだ。下の街とは気温が八度も違うから涼しく過ごせるよ。きみと同い年のひとり息子がいるので、きっといい遊び相手になる。一彦という名前だ」父の古い友人である浅木さんに招かれた私は、別荘に到着した翌日、一彦とともに向かったヒョウタン池で「この池の精」と名乗る少女に出会う。夏休みの宿題、次第に育まれる淡い恋、そして死―一九五二年夏、六甲の避暑地でかけがえのない時間を過ごす少年たちを瑞々しい筆致で描き、文芸とミステリの融合を果たした傑作長編。

<感想> ★★★★☆

今まで多島斗志之さんの作品を二作読んできました。 本書は08年の

「このミステリーがすごい!」国内編第7位、「週刊文春ミステリーベスト

10」
国内部門第8位にランクイン。 最もメジャーな作品です。


さて、本書は多島さんが最も得意とする文芸ミステリーです。 文芸色の

強いミステリーというのいくつかありますが、多島作品はミステリー色の

強い文芸作品といったところです。 避暑地でひと夏を過ごす少年の物

語は懐古調の青春小説としてパーフェクト。 ミステリーの要素がなくても

十分評価に値します。 そのように書くと、取ってつけたようなミステリー

を想像される方もいらっしゃるかもしれません。 私自身もそのような作

品で散々痛い目に遭ってきましたが、その点において多島斗志之という

作家はぬかりがありません。 


ラスト直前まで、あ~その話はどうなったの?このまま終わりにしちゃう

つもりっすか????状態ですが、着地の見事さは普通のミステリー

で味わう「やられた」だけではなく、独特の余韻があとをひきます。


謎解きやトリックに汲々として、文章やストーリーをおざなりにしているミ

ステリーで痛いに遭った経験をお持ちの方。

 「このミス」はイマイチ信用ならないという方。 

老舗のハヤカワ創元に信頼を置いているミステリーファンの方。

そして何より、昭和を舞台にした文芸作品を読みたいという方におスス

メします。

 
08-01(日)

7月の書籍代と南関東問題


先日テレビを見ていたら、地デジの普及率が8割を超えたという報道

がありました。

えっ!それってマジっすか?    状態です。

完全移行まで一年を切った現在でも、ギリギリまで粘ればなんとかな

るんじゃないか?
などと気楽に構えていた、きたあかり家にとっては衝

撃の報道でした。


さっそく知人などに聞いてみましたが、その普及率は3割程度。

周囲の人間がテレビ嫌いというわけではありません。

私も含めて、テレビがないと生きていけないバリバリのテレビ人間達です。

8割と3割。 そのギャップは何なんだ???と思い、ネットを検索して

いたら南関東問題というキーワードをみつけました。

今まで、日本中の家庭でアンテナ工事が行われていて、普及率8割に

至ったと思っていたのでぶっくりです。 アンテナを取り替えるお金もな

いし、本当にどうしませう。 

                  

というわけで、7月の書籍代です。

8冊 6,455円  7月の満足度37★


7月は大当たり月でした。 そのなかで一冊選ぶとすれば・・・・・



惜しくも直木賞は逃しましたが、個人的には大満足の一冊でした。


7月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:2606ページ

累犯障害者 (新潮文庫)累犯障害者 (新潮文庫)
江川紹子さんの解説。 最後の二行に激しく同意します。 
読了日:07月30日 著者:山本 譲司
黒百合黒百合
香ちゃんの小悪魔ぶりがツボでした。 ラスト近くであれ?あれ?と思い人物相関図書いてみました(笑) どちらかというと『汚名』(文庫改題「離愁」)の方が好みですが、この作風は嫌いではありません。
読了日:07月28日 著者:多島 斗志之
横道世之介横道世之介
これ吉田修一作品??まじっすか?という感じでしたが思いっきり楽しめました。 「ハートカクテル」とか「ねるとん」とか懐かしすぎて泣きました。(笑)
読了日:07月23日 著者:吉田 修一
小さいおうち小さいおうち
途中までは『リアル・シンデラレ』の方が勢いという点で勝っているように思いましたが、余韻を残す最終章が直木賞受賞の決め手になったのではないかと思います。 
読了日:07月20日 著者:中島 京子
リアル・シンデレラリアル・シンデレラ
泉が幸せそうに鯉の洗いを食べるシーンが秀逸でした。¢ツイラク£ほどトンガってないし、¢ハルカエイティ£と較べるなら読み応えがあります。今から数時間後に発表される直木賞ですが、受賞に値する作品だと思います。
読了日:07月15日 著者:姫野 カオルコ
ティファニーで朝食を (新潮文庫)ティファニーで朝食を (新潮文庫)
反論覚悟で書きますが、原作のホリー・ゴライトリーは飯島愛っぽいかなぁ~と思ったりもしました。
読了日:07月05日 著者:トルーマン カポーティ
虚夢虚夢
初読みの作家さん。 テーマもぶれないし、展開も申し分ないです。 もう少し枚数を増やせば、さらに読み応えがあったんじゃないかと思います。
読了日:07月04日 著者:薬丸 岳
コイノカオリコイノカオリ
宮下さん狙いで読みましたが、秀作ぞろい。 これほどデキのいいアンソロジーは滅多にないと思います。 
読了日:07月03日 著者:角田 光代,島本 理生,栗田 有起,生田 紗代,宮下 奈都,井上 荒野

読書メーター

 
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