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12-30(火)

2008年 ベスト10冊


早いもので2008年も残すところ一日となりました。

今年もブログ(ネット)を通じて、たくさんの本と出合うことが

できました。 リンク先の方たちをはじめ、みなさんに感謝です。


さて、今年読んだ本は123冊でした。

その中から、個人的なベストを10冊を選んでみました。

あくまで主観で選んだ10冊です。 それを踏まえてご覧

いただければと思います。







なぜ、事件は起きたのか?なぜ、二人は逃げ続けるのか?
そして、悪人とはいったい誰なのか。

「悪人」 吉田修一著






光の雨

日本が熱かったあの時代。 
彼らが目指したものはなんだったのか?

「光の雨」 立松和平著 








心の声は幾重にもせめぎあい、壊れた日々の亀裂へと追い詰
められていゆく。母親たちの深い孤独と痛み。

「森に眠る魚」 角田光代著








舞台はソ連崩壊後の新生国家ウクライナの首都キエフ。
ヴィクトルの身辺にも不穏な影がちらつく。そしてペンギンの運命は…。

「ペンギンの憂鬱」 アンドレイ・クルコフ著 沼野恭子訳





 


昭和39年、夏・・。 昭和が最も熱を帯びていた時代を、圧倒的
スケールと緻密な描写で描ききる、エンタテインメント巨編。

「オリンピックの身代金」 奥田英朗





 


三年半振りの新作。
どこを読んでも100%栗田有起ワールド。

「蟋蟀」 栗田有起著









10年の歳月をかけて描かれた著者渾身の感動ミステリー。
切れそうになる夫への細い糸をたぐって、唯は執念の追跡を続ける。

「回転木馬」 柴田よしき著








東京の小さな商店街を行き交う人びとの、その平穏な日々にある
あやうさと幸福。川上文学の真髄を示す連作短篇集。

「どこから行っても遠い町」 川上弘美著








DV、刻まれた怯え、求める心と拒む身体―痛みを超えて、
もういちどわたしたちは、恋をする。

「波打ち際の蛍」 島本理生著




10



服役した私の仕事は、障害を持った同囚たちの介助役だった。
壮絶なる真実の手記。新潮ドキュメント賞受賞。

「獄窓記」山本譲司著





ベスト30.gif


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12-30(火)

12月の書籍代&2008年の書籍代


今日の関東地方は晴天で、洗濯しまくりな午前中でした。

午後は掃除をしようと思っていましたが、テレビをつけたら・・・




一度もみたことがありませんでしたが「水戸黄門」的な展開がクセになりますね。

ジャージ姿で走りまくる仲間由紀恵さんに惚れちまいそうです。

午前中からやっているようですが、何時までやるのでしょうか?

このままズルズル観てしまいそうで、コワいです・・・


    


というわけで12月の書籍代です


11冊 7325円


 今月の大当たり


      


 今月の当たり

  


    


年末なので2008年の書籍代です。

68,981円(@560円)


ちなみに

2007年 51,772円  (@502円)

2006年 39,187円 (@502円)

2005年 77,260円 (@623円)


 
12-29(月)

「ざらざら」 川上弘美



熱愛・不倫・失恋・片思い・男嫌い・処女、そしてくされ縁・友愛・レズビアン。さまざまな女性の揺れ動く心情を独特のタッチで描いた名品揃い。クウネル連載20篇に他誌発表作3篇を加えた、ファン注目の川上ワールド。



<感想> ★★★★★

本書は川上弘美さんが『Ku:nel』に連載していた短編を中心にまとめた作

品集です。 『Ku:nel』と言う雑誌はコンセプトがはっきりしているので、その

読者層を意識した結果だと思いますが、どちらかというと初期の江國香織

さんを思わせる作品が多いように感じました。


10頁ぐらいの分量の中に、こんなことを考えているのは自分だけにちがい

ない。
と思い込んでいることを見つけることが出来る。 主観を客観として

語られるは、感性の似ている友人と出会ったような錯覚を覚えます。 それ

は、感情移入というほど大げさなものではありません。 

菓子を食べたあと、口の中に残る甘さの余韻。 

家庭科の授業で使った裁縫箱の中身。 

お正月の飾りについている作り物の赤い海老のざらざらとした感触。
 

判る!判る!すご~く判る!!が随所にちりばめられています。 

そこに川上弘美さん独特のゆるゆる感が加わるわけですが、この組み合

わせが絶妙です。 


川上弘美ファンはもちろん。江國香織さんの初期作品が、たまらなく好きだ

という方は読むべし!!です。
 
12-26(金)

「告白」 湊かなえ



わが子を亡くした女性教師が、終業式のHRで犯人である少年を指し示す。ひとつの事件をモノローグ形式で「級友」「犯人」「犯人の家族」から、それぞれ語らせ真相に迫る。第29回小説推理新人賞受賞作。



<感想> ★★★★☆

エンターテイメントの極意が「読ませる」ことにあるとするなら、本書は恐ろ

しく巧く出来た作品です。 娘を殺された母親が復讐をするという筋立ては

目新しいものではありませんが、中学生、教師、ネットという現代的なツー

ルを用いる一方で、古典的な母子関係を絡めるあたりは読者を選ばないし、

登場人物それぞれが事件について語る、モノローグ形式の構成もそれに大

きく寄与しているように思います。 特に、第一章は新人作家のそれと思え

ないほど秀逸です。 それ以降の展開も気になりますが、なによりこの作家

の書いた文章をもっと読んでみたいと思わせるチカラが備わっています。 


ただ、難を言えば最終章は興醒めでした。 描き切るという前提で読後感

の悪さは支持しますが、ネタ明かしは蛇足です。 この作品に限らず、文章

力で読者を引っ張っていくタイプのミステリーに関して「整合性」はマイナス

要因にしかならないのではないかと思います。 


とは言うものの冒頭で書いたのはお世辞ではありません。 気になってい

るんだけどベストセラー系は二の足踏んじゃう・・・
という天邪鬼な方もそれ

なりに満足できる作品だと思います。 とりあえず、第一章を立ち読みして

みてください。
 
12-26(金)

御用納め


典型的な中小企業である私の勤務先は31日まで仕事ですが、

営業部門は今日が御用納めでした。 

今年一年イロイロあったし、先行きはさらに不透明ですが、

年末年始はすべてを忘れてまったりしようと目論んでいます。


さて、例年UPしているので、今年も年間アフィリエイト実績

を報告します。 新刊本が2冊ぐらい買えそうです。

このサイトを通じてお買い物をしてくださった方々に感謝です。 

ありがとうございました。


クリック数     2,136回

買い上げ点数     75点

買い上げ金額    355,068円

成果ポイント    4,017ポイント


 
12-22(月)

「森に眠る魚」 角田光代


東京の文教地区の街で出会った5人の母親。育児を通してしだいに心を許しあうが、いつしかその関係性は変容していた。あの人たちと離れればいい。なぜ私を置いてゆくの。そうだ、終わらせなきゃ。心の声は幾重にもせめぎあい、壊れた日々の亀裂へと追い詰められていゆく。凄みある筆致であぶりだした母親たちの深い孤独と痛み。著者母子小説の衝撃作!



<感想> ★★★★★

本書は角田光代さんの最新刊です。 

あらすじを読むとお分かりいただけると思いますが、99年に発生した音羽

幼女殺人事件
がモチーフになっています。 当初、お受験が犯行の引き金

になったとマスコミで騒がれましたが、裁判の過程で被害者の母親と加害

者の人間関係の延長線上で生じた事件であることが明らかになりました。 


本書ではそれを踏まえて5人のママ友を中心にストーリーが展開していきま

す。 女性の負の部分を描かせれば右に出るものはいない。 そんな角田

さんだけあって、ドロドロ模様の描き方はハンパではありません。 とにかく

怖くて、その壮絶さは、私自身男に生まれてきたホントにヨカッタ!!と感じ

てしまうほどのものでした。  


八日目の蝉』を読んだときに、前半部分において桐野夏生さんに似たもの

を感じましたが、さらにその傾向が強まっているように思います。 しかし、

本書は単に女性同士のドロドロを描いた作品ではありません。 都会の希

薄な人間関係の中で孤立しがちな母と子。 不安の中で押しつぶされそうに

なる若い母親の姿を見事に描き出しています。 ズルかったり、痛かったり

する登場人物の言動を一概に非難できないと感じさせるのは、この点がしっ

かり描かれているせいだと思います。 


彼女(彼女たち)はなぜそのようになってしまったのか?という視点で読

むとこの作品のテーマがはっきり見えてきます。 

とは言うものの読んでいるとかなり消耗してしまうので、ドロドロ系が苦手だ

という方にはオススメしません。 ただ、専業主婦なんて気楽でいいよな・・

などと思われている男性の方はお読みになってみてください。 

 
 
12-22(月)

怖くて眠れません・・


長女が部活の遠征なので、3時(AMですぜ)過ぎに

学校まで送って行くことになっています。

寝過ごしたらどうしよう・・・と考えたら怖くて眠れなくなってしまいました。


明日は祝日ですが、中小企業従業員の私は仕事です。

往復一時間強なので帰ってくると4時過ぎです。

それからも寝過ごしたら・・・と思うと眠れないような気がします。


そんなわけで、昨夜買った角田光代さんの新刊を読み終えてしまいました。



なんか角田さんスゴいコトになってますぜ。

感想は今年中にUPします。

 
12-20(土)

「リアルワールド」 桐野夏生


高校三年の夏休み、隣家の少年が母親を撲殺して逃走。ホリニンナこと山中十四子は、携帯電話を通して、逃げる少年ミミズとつながる。そしてテラウチ、ユウザン、キラリン、同じ高校にかよう4人の少女たちが、ミミズの逃亡に関わることに。遊び半分ではじまった冒険が、取り返しのつかない結末を迎える。登場人物それぞれの視点から語られる圧倒的にリアルな現実。高校生の心の闇を抉る長編問題作。


<感想> ★★★★☆

本書の登場人物は4人の女子高生と1人の男子高校生です。 

桐野さんといえば、熟年女性(『魂萌え』)や主婦(『OUT』)を主人公した

作品がありますが、高校生という素材をどのように活かすのか?が注目

点だと思います。


さて、男子高校生が母親を撲殺してしまうというショッキングな冒頭。 

男子高校生の動機や逃走劇がストーリーを牽引していきますが、この作

品の肝は、彼に関わることになってしまった4人に女子高生の関係性に

あります。 前段で『魂萌え』『OUT』を引き合いに出しましたが、関係性

を描くという点では共通しています。 

彼女たちを結びつける一方で、ビミョーな隔たりを生じさせているのはキョ

ーレツな自意識です。 この世代を好んで描く作家である桜庭一樹さんの

作品と比較すると、多少誇張しすぎかなぁ~という気がしないでもありませ

んが、自意識の海で溺れる彼女たちが反目しながらも相互に補完し合うさ

まがリアルに描かれているように感じました。


桐野夏生と女子高生という組み合わせが・・・・という理由で本書を手にとっ

ていない桐野ファンに強くオススメします。

 
12-14(日)

「港町食堂」 奥田英朗


旅はいい。感じる風がいつもとちがう。ただし、わたしは無精者である。誰かに背中を押してもらわないと出かけられないのだ―。旅雑誌の企画に乗り、さまざまな港町を船で訪れることになった作家・奥田英朗。その行く手には、美女と肴と小事件が待ち受けていた!土佐清水、五島列島、牡鹿半島、佐渡島、ちょいと足を伸ばして釜山。笑い、毒舌、最後はしみじみの、寄港エッセイ。


<感想> ★★★☆☆

本書は奥田英朗さんのエッセイです。

旅雑誌に連載されていた企画モノを一冊にまとめたようです。


さて、旅のエッセイといえば内田百けん先生ですが、本書もノリは『阿房列車』

のそれに近いものがあります。 ただし乗っていくのは列車ではなく船(フェリ

ー)です。 


かつて、四国や北海道に行くためには船を使わなくてはならない時代がありまし

た。 橋やトンネルが出来て宇高連絡船も青函連絡船もなくなったわけですが、

現在でも太平洋と日本海にフェリー航路は存在します。 そんなフェリーを使っ

た旅は編集者を同行した爆笑系です。 文章がどうのこうのとか、薀蓄が・・など

という類のエッセイではありませんが、あ~こういう旅もあるんだなぁ~と思わせ

てくれる一冊です。


 
12-13(土)

トーハン年間ベストセラー


トーハンの年間ベストセラーが出ました。

以下は単行本・文芸書部門のTOP10です。


1 『流星の絆』  東野圭吾  講談社

2 『聖女の救済』  東野圭吾  文藝春秋

3 『ガリレオの苦悩』  東野圭吾  文藝春秋

4 『犬と私の10の約束』  川口 晴  文藝春秋

5 『のぼうの城』  和田 竜  小学館

6 『L change the WorLd』  M  集英社

7 『食堂かたつむり』  小川 糸  ポプラ社

8 『ゴールデンスランバー』  伊坂幸太郎  新潮社

9 『私の男』  桜庭一樹  文藝春秋

10 『おそろし 三島屋変調百物語事始』  宮部みゆき  角川書店


赤字は既読です。


TOP3は東野圭吾さん。 ドラマ化、映画化作品が相次いでいる影響でしょうね。

直木賞受賞以降の「確変」が止まりません。


直木賞といえば上期の『私の男』はベストセラー入りしたものの

下期は落選した『のぼうの城』がベストセラー入りしています。

小学館は商売がウマいですね。 下期受賞作の『切羽へ』はジミですが

いい作品です。 みなさん読んでみてくださいね。




『犬と私の10の約束』  川口 晴  文藝春秋



この作品は3月に公開された同名映画の原作本。



『L change the WorLd』  M  集英社



こちらは『DEATH NOTE』のスピンオフ小説。


 
12-11(木)

☆野JAPANなボーナス


昨日、サラリーマンのお楽しみである冬のボーナスが支給されました。

私の可処分所得(おこづかい) は手取り額の10%です。


先日、買った  新刊本の支払い+忘年会  の会費+α

を目論んでいましたが・・・


こんなハズじゃなかった 

まるで、北京オリンピックの ☆野JAPAN 状態です。

 とても悲しいです。 

+αどころか、新刊本の支払いもできるかどうか・・

 
12-10(水)

「グラスホッパー」 伊坂幸太郎


「復讐を横取りされた。嘘?」元教師の鈴木は、妻を殺した男が車に轢かれる瞬間を目撃する。どうやら「押し屋」と呼ばれる殺し屋の仕業らしい。鈴木は正体を探るため、彼の後を追う。一方、自殺専門の殺し屋・鯨、ナイフ使いの若者・蝉も「押し屋」を追い始める。それぞれの思惑のもとに―「鈴木」「鯨」「蝉」、三人の思いが交錯するとき、物語は唸りをあげて動き出す。疾走感溢れる筆致で綴られた、分類不能の「殺し屋」小説。


<感想> ★★★☆☆

まぁ~殺し屋の話だから仕方ないんだけど人が死にすぎです。

人の命を軽んじる著者の姿勢が・・・とか、

こういう作品が少年犯罪を・・などと言うつもりはサラサラありません。 

むしろクライムノベルとしては上出来だし、登場人物の言い放つセリフも

魅力的です。 伊坂幸太郎さんもその点は充分踏まえていて、読後感に

関しては必要以上に気を使っているように思います。 


結局、小説なんてホラ話以外のナニモノでもないわけで、それを真に受け

て、云々するのは愚の骨頂というやつです。 

ただ、あくまでホラ話という観点から言うなら「死」は最も効果的な演出材

料です。 それをなおざりにするのはもったいないというのが、ホラ話ファ

ンである私の率直な感想です。

 
12-08(月)

「自由戀愛」  岩井志麻子



かわいいだけの女はもう卒業。愛されて育った明子と、地味で控えめな清子。女学校に机を並べながらも正反対に見えた二人の人生は、同じ男を愛したことから交わり、少しずつ狂いはじめる―大正ロマンの彩り鮮やかに描き出される恋と自立の物語。第九回島清恋愛文学賞受賞作。



<感想> ★★★★☆

深夜枠のテレビ番組で、奔放な発言をする岩井志麻子さんはイロモノ作家と

思われがちですが、作品を読んでみると才能のある作家さんであることがわ

かると思います。 特に民俗や土着信仰を巧みに取り込んだホラーは岩井さ

んの独壇場と言っても過言ではありません。


さて、そんな岩井志麻子さんですが、本書の舞台は明治末期から大正初頭。

女性の自立が叫ばれてくるようになり、職業婦人を目指す若い女性たちが台

頭してくる。 まさに『はいからさんが通る』の時代です。 ストーリーはドロドロ

系で、あえて言うなら恋愛通俗小説といったところです。 こう書くと薄っぺら

な印象ですが、古い価値観から新しい時代に踏み出そうとする彼女達が感じ

る軋轢や理不尽さを織り込んで、作品に奥行きを与えています。 


大正浪漫がツボだという方、恋愛通俗小説と聞いて菊池寛をイメージされる

方。 そして、「なんかドロドロ系ってあんまり好きじゃないのよね・・」と公言し

つつも、密かに東海テレビの昼ドラをチェックしているというあなたに強くオス

スメします。



  


 
12-07(日)

このミス09&文春ミステリーベスト


このミスと週刊文春のベストが出ました。

いよいよ、年末って感じですね・・


両者でランクインしている作品は赤字で表記しました。



『ゴールデンスランバー』 伊坂幸太郎

『ジョーカー・ゲーム』 柳広司

『完全恋愛』 牧薩次

『告白』 湊かなえ

『新世界より』 貴志祐介

『カラスの親指』 道尾秀介

『黒百合』 多島斗志之

『山魔の如き嗤うもの』 三津田信三


『ディスコ探偵水曜日』 舞城王太郎

『ラットマン』 道尾秀介



週刊文春ミステリーベスト10

『告白』湊かなえ

『ゴールデンスランバー』伊坂幸太郎

『ジョーカー・ゲーム』柳 広司

『ラットマン』道尾秀介


『聖女の救済』東野圭吾

『完全恋愛』牧 薩次

『山魔の如き嗤うもの』三津田信三


『黒百合』多島斗志之

『新世界より』貴志祐介

『カラスの親指』道尾秀介




既読は『ゴールデンスランバー』のみです。


今年は、湊かなえさんを中心として、新人作家さんの

台頭が著しいように思います。


舞城王太郎さんは、数年前芥川賞候補になりました。

都知事は酷評しましたが、池澤夏樹さんと山田詠美

さんは推していたようです。 

評価の分かれる作家さんというところでしょうか。

 
12-06(土)

「やさしいため息」 青山七恵



今日はどんな一日だった? 4年ぶりに再会した弟が綴るのは、嘘と事実が入り交じった私の観察日記。立ちこめる湯気の中、私は冷たい肌が温まっていくのを感じている……。『ひとり日和』で芥川賞を受賞した著者が描く、OLのやさしい孤独。




<感想> ★★★★☆

青山七恵さんの芥川賞受賞後第一作です。

授賞から二年経っていますが、アッサリした文章は健在です。


さて、本書の主人公は内向的なOLです。 青山七恵さんご自身も旅行会

社に勤務するOLさんのようですが、なんとなく他人と距離を置いてしまう若

い女性の姿をリアルに描いています。 特に大きな出来事はありませんが、

突然同居するようになった破天荒な弟を触媒にして、少しづつ変わっていく

主人公の姿が印象的です。 サラリと読めてしまいますが、主人公の吐くた

めいきはやたらと琴線にふれてきます。 


文章自体が凝っているワケでもないし、ストーリーも平板と言えば平板です。 

ただ、青山七恵という作家には、読者の心を作品に向かい合わせる力があ

るような気がします。 だからこそ読者は最小限の文章で魅了されるのかも

しれません。 なんとなくだけど『ひとり日和』はヨカッタなぁ~という方にオス

スメします。
 
12-05(金)

「月夜の魚」 吉村昭


人生の悲しみを癒すものは何なのだろう。祖母の死に遭遇した日から、人は死ぬ日に向って行列していると怯える小学2年生。蛍のように短い生命を終えた少年。事業に失敗し、一家心中を選ぶ律儀な町工場主など。さまざまな死の光景を描いてなお深い慰めを与える、短篇名作集。



<感想> ★★★☆☆

先日ブック○フに行ったら、吉村昭の短編集が数冊並んでいたので、まとめ

て買ってきました。 前にも書きましたが『戦艦武蔵』『破獄』などノンフィク

ションの書き手として成功した吉村昭ですが、それ以前は独自の死生観を貫

いた私小説風の作品を手がけています。 ちなみに4回芥川賞にノミネートさ

れていますが、実際に芥川賞を受賞したのは奥さんの津村節子さんの方でし

た。


さて、本書には11の短編が収められています。 個人的には私小説色の強

『弱兵』 生きることの悲しみを描く表題作に心を動かされました。


吉村昭が亡くなって二年経ちました。 ノンフィクションはまだ需要があるよう

で、恐らくこれから先も残っていくと思います。 一方で、初期の短編は今年

話題になった『名短篇、ここにあり』「少女火刑」が入っているものの、今後

は手に入りにくくなるかもしれません。 





 
12-03(水)

「セメント樽の中の手紙」 葉山嘉樹


ダム建設現場で働く男がセメント樽の中から見つけたのは、セメント会社で働いているという女工からの手紙だった。そこに書かれていた悲痛な叫びとは…。かつて教科書にも登場した伝説的な衝撃の表題作「セメント樽の中の手紙」をはじめ、『蟹工船』の小林多喜二を驚嘆させ大きな影響を与えた「淫売婦」など、昭和初期、多喜二と共にプロレタリア文学を主導した葉山嘉樹の作品計8編を収録。ワーキングプア文学の原点がここにある。


<感想> ★★★★☆

バブル世代の私にとって、プロレタリア文学は過去の遺物以外のナニモノ

でもありませんでした。 小林多喜二徳永直の名前を知ったのも国語の

授業ではなく社会科の授業でした。 著者の葉山嘉樹は大正末期から昭

和初期(1920年代)にかけて活躍した作家です。 プロレタリア文学に芸

術性を加味し、後に続く小林多喜二らに影響を与えたと言われています。 


さて、本書には8つの短編が収められていますが、印象的なのは表題作と

「淫売婦」「死屍を食う男」の三篇です。 

私は淫売婦の代わりに殉教者を見た。 彼女は、被搾取階級の一切

の運命を象徴しているように見えた。
(「淫売婦」より) 

というあたりは思いっきりプロレタリアートしていますが、基本的にはホラー

小説です。 もちろんそれは作家の本意とはかけ離れているわけですが、

リアルな描写と研ぎ澄まされた文章はトリハダものです。  表題作は青空

文庫
で読むことができます。 ちなみに「死屍を食う男」の初出誌は江戸川

乱歩
横溝正史のホームグラウンドであった『新青年』です。 


特高警察の拷問を受け、築地警察署の拘置所で獄死した小林多喜二のエ

ピソードは有名ですが、当然のように葉山嘉樹も幾度となく投獄され、敗戦

直後、満州から引き揚げてくる列車の中で病死し異国の土となっています。

作品が後世まで残るというのは作家としては本望だと思います。 ましてや

80年の時を経てベストセラー入りするなんて前代未聞です。 

しかし、文字通り命を賭して作品を紡いだ彼らには目的があったはずです。 

恐らく、夢見たであろう未来の遥か先で再度、自分の作品が求められている

ことを彼らはどのように捉えるのでしょうか?

 
 
12-02(火)

「オリンピックの身代金」 奥田英朗

昭和39年夏。10月に開催されるオリンピックに向け、世界に冠たる大都市に変貌を遂げつつある首都・東京。この戦後最大のイベントの成功を望まない国民は誰一人としていない。そんな気運が高まるなか、警察を狙った爆破事件が発生。同時に「東京オリンピックを妨害する」という脅迫状が当局に届けられた!しかし、この事件は国民に知らされることがなかった。警視庁の刑事たちが極秘裏に事件を追うと、一人の東大生の存在が捜査線上に浮かぶ…。「昭和」が最も熱を帯びていた時代を、圧倒的スケールと緻密な描写で描ききる、エンタテインメント巨編。


<感想> ★★★★★

奥田英朗さんといえばコミカルな作風のイメージをお持ちの方も多いと思

いますが、本書は本格的なサスペンスです。 既刊では『邪魔』をイメージ

すれば本書の作風に重なるのではないかと思います。


さて、あらすじにもある通り舞台は東京オリンピック開催前夜の昭和39年

の夏。 二人の青年を軸に物語が展開していきます。 一人はTV局に勤

務する須賀忠。 もう一人は大学院生の島崎国男。 

二人は東大で机を並べていましたが、須賀の家はいわゆる旧家で父親は

警察官僚。 一方、東北出身の島崎は兄の出稼ぎで糊口を凌ぐ貧しい家

庭に育ちます。 オリンピック直前に完成した首都高速をスポーツカーで疾

走する須賀。 出稼ぎに出たオリンピックの建設現場で酷使され死んだ兄

を持つ島崎。 


戦後復興を掲げた華やかなオリンピックの光の裏には、当然ながら影があ

ります。 光が眩ければ眩いほどその影は濃く長い。 まさに二人はその

象徴に他なりません。  


ネタばれするのでストーリーには触れませんが、500頁2段組の長編に関

わらず張り詰めた糸は最後まで緩むことはありません。 特にF・フォーサ

イスの『ジャッカルの日』を思わせる終盤の緊張感は見事としか言いようが

ありません。 


ラストに関しては様々な考え方ができると思いますが、彼が担っていた役割

(格差社会の負)を念頭に置くなら、そこには大きな意味がこめられている

ような気がしてなりません。 


そういえば東京オリンピックの年は水不足でよく断水してたなぁ~と感慨に

ふける方から、北京オリンピック開催ギリギリまで会場を造っていた中国って

ダメじゃん・・・
などと感じた若い世代の方まで、あらゆる世代の心の中に一石

を投じるエンターテイメントです。 

 
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